アレキサンダーファン
2017年01月掲載
第69回 アレキファン的「ホルンの“ホ”」
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン 第9回定期演奏会に向けて始動!


 2017年6月23日(金)に、東京・銀座のヤマハホールにて、我らがアレキサンダーホルンアンサンブルジャパンの第9回となる定期演奏会が開催され、1月28日のチケット発売開始が間近となってきた(詳細はこちら)。そこで今回は、第1回目の練習におじゃました際の様子と、その時点での各メンバーの意気込みなどをレポートしたい。


幅広いレパートリーを、アレキサンダーサウンドで

アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン

 

 アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン(以下、アレキジャパン)とは、1999年にアレキサンダーのホルンを愛用するオーケストラ・プレーヤー10名によって結成されたプロフェッショナルのホルンアンサンブル。すでに8回の定期演奏会を行ない、2004年の『ジュピター』、2007年の『カーニバル』と2枚のCDをリリースしている。
 現在も全員がアレキサンダーホルンを使っていることに変わりはないが、メンバーは少しずつ入れ替わっており、今回は新たに熊井優さんと濱地宗さんが加わることになった。
 リーダー的存在の金子典樹さんによれば、「アレキサンダーを吹いている人なら誰でもいいというわけにはいきませんし、逆にどんなに良いプレーヤーでもアレキサンダーを吹いている人でないとメンバーには迎えられません。また、取り上げる曲の内容が10人でちょうどいいというものが多いことから、今回もメンバーは10人で演奏会に臨みます」と言う。


アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン

 

 プログラムも取材の時点では一部しか決まっていなかったが、これまで同様、小さな編成(なんとデュオもあるらしい!)から大きな編成まで、ドープラのような古典から現代曲までと幅広いレパートリーを取りそろえている。
 全員参加の十重奏では、J.ウィリアムスの《オリンピック・ファンファーレ》に加え、ある有名な交響曲のオリジナルアレンジも依頼しているとか。
「市販されている譜面はだいたいがすでに演奏されています。やはり新しいものを作って行かないとレパートリーは広がりませんが、委嘱作品ではアレキジャパンのカラーと違ってしまう可能性もある。そういう意味でオリジナル編曲の曲にしようと思い、今回はベルリオーズの《幻想交響曲》を取り上げることになっています。アレンジはホルン作曲家としてお馴染みの小林健太郎さんに依頼していますが、ワーグナーの《ローエングリン・ファンタジー》のように自由にアレンジしてもらうことに、現時点ではなっています。今後話をしながらコンセプトを固めていくので、どういうものになるか、本番でのお楽しみということにさせてください」と金子さん。
 さらに、これまでの演奏会で毎回取り上げているワーグナーだだが、CD『カーニバル』にも収録されている《タンホイザー》ハイライトを再び演奏するという。以前演奏会でも取り上げたこともあるが、時間が経っていることもあり、またCDでしか聴いたことのない人も、生のアレキサンダーサウンドで聴けるチャンスだ。



第1回のリハーサルにて、メンバーが意気込みを語る!

アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン

 さて、時は遡って2016年秋。都内某所にてアレキジャパン第9回定期演奏会のための初練習が行なわれた。とは言ってもこの日はまだプログラムも決定していなかったため、候補曲の音出しと全体を通してのパート決めなどが主な内容だった(それにチラシの撮影)。
 候補曲を初見で音出し。複雑な曲ではやみくもに通すのではなく、互いのパート譜をにらみつつまず曲の構造を把握するための話しがあるのがさすがプロ。とは言え、基本的には和気あいあいと合わせが進んでいったのが印象的だった。


 なにしろ様々なオーケストラで活動しているプレーヤーが10人ともなると、スケジュールのやり繰りは途方もないことになる。せっかく全員集合したので、練習の合間を縫って、1人1人に第9回演奏会に対する意気込みをうかがってみた(掲載は順不同です)。



金子典樹(新日本フィルハーモニー交響楽団)

 今回またメンバーが一部入れ替わり、どんどん若返っています。初期メンバーはもう有馬さんと僕だけになってしまいました。それにつれてサウンドもどんどん変わっていくし、演奏内容も変わってくるかもしれない。その辺は今回やってみないとわからないところですが、同時に楽しみな部分でもあります。
 とは言え、このアンサンブルの名前にもなっているように、メンバーは全員アレキサンダーを使っています。それはつまり、アレキサンダーの持つ「ホルンらしい響き」というものを求めているからアレキサンダーを使っているということ。その意味で、サウンドのおおもとにあるものは変わりませんが、楽器は人が吹くものですから、個性によって全体のサウンドも変化していくわけです。


有馬純晴(東京都交響楽団)

 最初からいるメンバーももう少なくなってしまい、歳を取ってだんだん付いて行けなくなっています(笑)。思い起こせば、最初の頃は僕を含めてみんな若かったですから、とんでもない曲にも挑戦しましたが、それによってこのアンサンブルらしさも確立できたと思っています。メンバーが変わっていっても、それが受け継がれているというのは良いことですね。アレキサンダーを使っていることによるサウンドはもちろんですが、もともと「アレキサンダーだけでアンサンブルをやろう」という“やる気”のようなものも変わらずにあると思っています。音色は個人個人で違いますが、目指している方向は近いものがある。それも最初から変わらないことですね。
 プログラム的には、第1回演奏会からずっと取り上げているワーグナーですが、今回は《タンホイザー》をもう一度演奏します。CDにも入っていますが、先ほど言ったようにメンバーはかなり変わっていますので、また違った感じになるでしょうし、CDと生はまた違いますからね。聴いたことがある人も、ぜひ改めて聴きに来てください。


伴野涼介(読売日本交響楽団)

 前回の第8回定期演奏会が5年ぶりだったのに対して、今回は2年ぶりなので、変わるような変わらないような、順調に歳を重ねたような感じに受け取っています。これから合わせをしていくので、また新しいアイディアが出てくるかもしれませんね。
 オール・アレキサンダーということについても、私のいる読売日本交響楽団のホルンセクションが全員アレキサンダーなので、普段通りという感覚です。逆に他で吹くときに「アレキサンダーが少ないな」と感じることがあるくらいで、アレキジャパンの状態が僕にとっては自然なものに感じています。


上間善之(東京交響楽団)

 今回のアレキジャパンの一番の目玉は、メンバーが入れ替わってフレッシュな状態になったことだと思いますが、僕が入る前からずっとやってこられた大先輩方が作り上げてきたサウンドとか、リハーサルでの音楽の作り方などは伝統として引き継ぎながら、新しいメンバー含めて和気あいあいとやっていければ、おのずと良いものができると思っています。
 前回の演奏会に引き続き現代曲をカルテットで演奏しますが、前回のリディル《MEYENMUSICK 16世紀ブレスラウの5月の歌の主題による4本のホルンのための変奏曲》はかなり練習も重ねて達成感もあったものですから、今回も熱い演奏をしたいと思い、同じメンバーで現代曲に挑みます。一方でクラシカルな作品もあって、そういう振り幅の大きさが、ホルンの魅力をより伝えられることになるのかなと思います。バラエティに富んだプログラムですから、聴いていても飽きないと思いますし、プレーヤーが変われば音色も変わるので、いろいろな角度から、様々なアプローチで楽しめる演奏会になるのではないでしょうか。


上里友二(群馬交響楽団)

 演奏会に出るのは今回が3回目となりますが、その前からアレキジャパンのファンでずっと追いかけていましたので、今自分もメンバーになっていることが何より嬉しいです。みんな“アレキ愛”を持っている人たちでもあります。以前に比べるとプロの間でもアレキサンダー以外の楽器の選択肢が増えて来ていますが、その中でアレキサンダーの変わらぬ魅力というものを十分に伝えることができたらいいですね。アレキサンダーの魅力というのは、繊細な音からブラッシーな音までたくさんの音色があるということや、Tuttiで吹いたときの独特のホルンらしい音が気持ちいいところだと思いますので、曲に関しても、「アレキサンダーのサウンドっていいね」と思えるようなものを演りたいと思っています。


藤田麻理絵(新日本フィルハーモニー交響楽団)

 アレキジャパンでは、スイス留学をはさんで3回目の演奏会となります。今回は、留学で学んだ奏法や譜面の読み方なども生かしたいと思っています。スイスではかなり幅広く勉強して、現代曲のプロジェクトにも取り組みました。アレキジャパンでは毎回現代曲を入れていますので、乗る乗らないは別として、そういうところでも役立てたいですね。プログラム的には毎回ワーグナーを入れるとか、誰も聴いたことがないような新しい曲を入れるとか、新しいアレンジをするとか、コンセプトがはっきりしていますので、いろいろな提案ができると思っています。
 メンバー的にはベテランの方が抜けられたのは残念ですけれど、代わりに若い人たちが入ったので、また違う味が出てくるのではないでしょうか。


日橋辰朗(読売日本交響楽団)

 アレキジャパンの演奏会に出演するのは、団員としては今回が2回目となります。その前の2010年の名古屋公演ではエキストラとして参加していました。このアンサンブルは全員アレキサンダーを使っているので音も寄りやすいですし、メンバー同士も気心知れた仲なので、楽しくやっています(笑)。メンバーも少しずつ入れ替わり、同級生の濱地君をはじめとして僕と同年代の若い人たちが増えていますので、今度の演奏会ではまた次世代のアレキサンダーサウンドが生まれるのではないかと思っています。
 ホルンアンサンブルに関してはいろいろなところで演奏会が開かれていますから、どんどん新しいレパートリーに挑戦していかないといけないのかなと考えています。僕自身はホルンアンサンブルの曲に詳しいわけではないのですが、アレキジャパンは毎回委嘱作品やオリジナルアレンジを取り上げていますので、その点でも方向性は一致していますね。


鈴木優(東京交響楽団)

 今回から正式に団員としてアレキジャパンに参加させていただくことになりましたが(演奏会には前回も出演)、私自身、楽しみでしかたがないです。自分の好きなアレキサンダーという楽器だけが集まった響きというのは良いなあと、改めて感じています。私はこの楽器の音色感とか抵抗感、そして鳴らしたときの金属的な響きなどが大好きなのですが、同じアレキサンダーを選択したという時点でみなさん好みも似ているのかもしれませんね。
 演奏会までまだ間がありますが、メンバーの方々のアイディアを集約して、とても良い演奏会になりそうな予感がしています。


熊井優(神奈川フィルハーモニー管弦楽団)

 今回が初めての参加となりますが、アレキジャパンは学生の頃からよく演奏会を聴いていて、すごく影響を受けたアンサンブルのひとつですので、その中に加わって、良い響きを作って行きたいと思います。これまで聴いたときも、やはりアレキサンダーホルンの良さが前面に出ていて、この統一感というのは同じ楽器を使ったアンサンブルならではなのかな、と感じていました。
 プログラム的にも、「これをホルンアンサンブルでやるのか!」というものもあれば、オーソドックスなレパートリーもあるところが、良さだと思っています。やはりホルストの《惑星》から〈木星〉を学生時代に聴いたときには、衝撃を受けましたし(笑)、その一方でワーグナーをアレキサンダーの音で聴くと「これがホルンの響きだ!」と思いましたからね。


濱地宗(群馬交響楽団)

 恐縮です。初めての参加で楽しみといえばとても楽しみなのですが、緊張しています。なにしろアレキジャパンが結成されたときは、ホルンを吹き始めたかどうかという頃ですから。僕自身、高校からずっとアレキサンダー103を使い続けていますので、自分にとってホルンと言えばアレキサンダーしかないんです。ところが今、群馬交響楽団でアレキサンダーを使っているのは僕しかいないので、オール・アレキサンダーによるアンサンブルというのがとても楽しみです。



以上、メンバーの声でした。ますます、6月23日の演奏会が楽しみになりますね!


文:アレキサンダーファン編集部 今泉晃一



撮影風景をパシャリ。これが、完成すると……↓

撮影風景をパシャリ。これが、完成すると……↓



こうなる。カッコイイ!

こうなる。カッコイイ!





アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン
「第9回定期演奏会」

日程 2017年6月23日(金)
開演 19:00 (18:30開場)
会場 ヤマハホール
チケット

一般 4,000円/学生 2,500円

※日本ホルン協会会員及びアレキサンダーホルンオーナーズクラブ(AHOC)会員の方は500円割引

曲目(予定) J.ウィリアムズ/ロサンゼルスオリンピック・ファンファーレ
G.ロッシーニ/チェロとコントラバスのための二重奏曲より
W.シュミット/4本のホルンのための変奏曲
R.ワーグナー/歌劇「タンホイザー」ハイライト
L.F.ドープラ/グランドゼクステットより
F.グロス/4本のホルンのための4つの小品
H.ベルリオーズ・小林健太郎/幻想交響曲より
メンバー 有馬純晴(東京都交響楽団)
上里友二(群馬交響楽団)
上間善之(東京交響楽団)
金子典樹(新日本フィルハーモニー交響楽団)
鈴木優(東京交響楽団)
伴野涼介(読売日本交響楽団)
日橋辰朗(読売日本交響楽団)
藤田麻理絵(新日本フィルハーモニー交響楽団)

<賛助出演>
熊井優(神奈川フィルハーモニー管弦楽団)
濱地宗(群馬交響楽団)

※詳細は「コンサート案内」をご覧ください。




↑ ページトップへ戻る


ALEXANDER HORN OWNER'S CLUB Copyright© Yamaha Music Japan Co., Ltd. 個人情報保護方針