プログラムは、オリジナルのホルンアンサンブル曲と、クラシックの名曲のアレンジから成る。
まずはモーツァルトの《ディヴェルティメントK.138》。元は弦楽合奏の曲だが、JHQのホルン5本の音色に、1発目から魅了されてしまう。モーツァルトらしいしなやかで軽やかなアレグロ。緩徐楽章はたっぷりとした響きを持つ新しい石橋メモリアルホールと相まって、幻想的なほど音に包まれる感覚があった。上を吹く4人は全員アレキサンダー103ということもあり、ハーモニーの魅力を存分に味わうことができた。
続いてはJHQが毎回のように取り上げているお得意のターナー。しかも今回は「定番」とも言えるホルン四重奏曲第1番を演奏した。テクニカルな要素も多い曲だが、そこはきっちり消化して、メロディの美しさが際立つ演奏だった。第1楽章、第3楽章など低音に厳しい音型がかなり出て来るが、4番を吹く勝俣氏は決してもたれることがなく、決めるべきところではバリバリと鳴らす。全体に、音楽的に攻めている感があり、そのせめぎあいが良い意味の緊張を生んで面白さにつながっていた。第2楽章の中間部は指定では口笛でメロディを吹くことになっているが、JHQでは1stの西條氏のホルンと2ndの山岸氏の口笛のユニゾンで演奏し、とても美しかった。
イギリスの作曲家ウィギンスの《Time For Five》は特徴的な5曲から成り、それぞれのキャラクターの対比が楽しい。1曲目〈STEAM TRAIN BLUES〉は蒸気機関車がゴトゴトと音を立てて走る感じがジャジーな曲調で描かれる。〈NORDIC MELODY〉は打って変わってしっとりとした曲だが、JHQのサウンドの変化、雰囲気の切り替えが見事。3拍子の常動曲〈MOTO PERPETUO〉は流れるメロディの裏でずっと細かく動いているのだが、そこのかみ合いが面白い。〈CHILLING OUT〉では、1stを吹く上間氏の雰囲気のある歌い回しが見事。〈JVE FOR FIVE〉も、5拍子の印象的なメロディを歌心豊かに演奏した。さすが大野雄太氏とホルンによる紅白歌合戦を開催しているだけのことはある(?)。 |