ターナーの《ホルン四重奏曲第4番》は、ある意味この演奏会のメインの1つだった。自身がアメリカン・ホルン・カルテットで活動しているターナーの曲は、ホルンの可能性をフルに使ったテクニカルなものだが、同時に民謡なども取り入れた親しみやすいメロディには歌心も求められる。シエナ・ウインド・オーケストラの上里友二さんと津守隆宏さん、そして石川善男さん、山本奈奈さんによる演奏はアンサンブルもピタッときまり、手の内に入った演奏を聴かせてくれた。テクニックに余裕がうかがえる分、”歌”の部分がよく表現されていたように思う。音色もアレキサンダーサウンドの良い面がよく出ていて、ある時は柔らかく繊細に、あるときは輝かしく雄大であり、曲調による雰囲気の差も多彩で、第2楽章のミステリアスな雰囲気には思わず引き込まれた。
今回はグループごとに様々な配置が取られているのも興味深いところだが、このカルテットのオーソドックスな半円の配置は、やはり互いの顔を付き合わせて吹くことで、糸でつながったような有機的なアンサンブルを聴かせてくれたような気がした。 |