アレキサンダーファン
2010年06月掲載
第41回 アレキファン的「ホルンの“ホ”」
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン 新メンバーも加えて、11年目のリフレッシュ!

 メンバー全員がアレキサンダーのホルン(しかも今回は全員が103!)を使用する、ご存じアレキサンダーホルンアンサンブルジャパン(以下、AHEJ)が、2010年9月の定期演奏会に向けて、活動を開始した。第1回の合わせは4月に行なわれ、すでに完成してみなさんの目に留まっているであろうチラシの写真撮影も同日、銀座の新装なったヤマハホールにて行なわれた。


ヤマハ銀座店とともに新装開店したヤマハホールにて、AHEJ演奏会用チラシのための写真撮影におじゃました

ヤマハ銀座店とともに新装開店したヤマハホールにて、AHEJ演奏会用チラシのための写真撮影におじゃました


 愛知県立芸術大学の准教授となって活動の中心を名古屋に移した竹村さん以外全員が、東京都内のオーケストラや吹奏楽団に所属する現役のプレーヤーであり(竹村さんも、もちろん現役プレーヤーだ!)、それぞれが多忙なスケジュールを調整しての練習がすでに何度も行なわれている。


 AHEJは1999年に結成され、今年11年目を迎える。当初のメンバーは約半数が入れ替わったが、昨年、そして今年と新しいメンバーを加えつつ、現在10名で活動中。
 2008年の11月にはベルリンフィルのシュテファン・ドールとサラ・ウィリスを迎えた特別演奏会を行なっているが、定期演奏会としては2007年2月以来、約3年半ぶりとなるAHEJのメンバーに、演奏会の聴きどころや、演奏会に向けての思いを語っていただいた。


どんな写真が使われたのかは、実際にチラシをご覧下さい

どんな写真が使われたのかは、実際にチラシをご覧下さい


 まずは、今回初めて参加することになった方から。最初は、東京フィルハーモニー交響楽団の高橋さん。

高橋

「みなさんアンサンブルのスペシャリストなので、最初に音を出したときからとにかく気持ちよく吹かせていただきました。楽器も全員アレキサンダーということで、音色の統一感など何も考えなくても、吹けばそこで合ってしまうという感じですね。もちろん、プロとしては楽器の差というのは大きな違いではありませんが、アンサンブルをする点で、その部分でのストレスが全くないというのは事実です」

 続いて、シエナ・ウインド・オーケストラの上里さん。

上里

「僕自身もAHEJのファンで、CDも聴いたし演奏会も聴きに行っていました。アレキサンダーのホルンも大好きですし。そんなみなさんの中で、少しでも自分らしさを出せればいいなと思っています。最初に音出ししたときには、怖かったですが、気持ちよかったです(笑)」

 今年1月から新日本フィルハーモニー交響楽団の正団員になった藤田さん。

藤田

「AHEJはこれまでコンサートに行ったり、CDを聴いたりと、学生のころからの憧れだったので、今回参加できるということはすごく嬉しいです。音出しをしてみて、一体感というか迫力というか、吹きながら感動していました(笑)。この機会にいろいろ学べたらと思っています。
 あと、同じメーカーの楽器ということで、音色的にもより一体感があって、カチッと合う感触が良いですね。やはり、アレキサンダーだけのアンサンブルというのは意味があるのだなと改めて思いました。私自身、アレキサンダー103を使うようになったのはここ1〜2年で、最初慣れるまで少し時間がかかりましたが、吹き込むほどに良い楽器だなと思っています」

 では続いて、これまでずっと紅一点だったが、藤田さんの参加で紅二点となった野見山さん。

野見山

「今若い人でホルンを吹く人は女性が多いので、こうやってアンサンブルでも藤田さんとご一緒できるのはとても嬉しいですね。あと、今年は『バンドジャーナル』で『ワンポイントレッスン』を担当していて、毎回苦労して原稿を書いていますので(笑)、ぜひご覧ください」

 ところで、最近購入したというハンドハンマー(103MLHG)はいかがですか。

 

「すごく良いですよ! 同じ103でもぜんぜん別物で、前の103は持ってはいますが全く使っていません。これから増えるかもしれませんが、AHEJでは今ハンドハンマーが3本そろっていますので、それも楽しみにしてください」(あとのお二人は金子さん、久永さん)

今回は初の美女2人体制で、しかも2人とも下吹き。どんな演奏を聴かせてくれるか、今から楽しみだ

今回は初の美女2人体制で、しかも2人とも下吹き。どんな演奏を聴かせてくれるか、今から楽しみだ


 続いて、2008年の特別演奏会から参加しているお二人。

上間

「やはり大編成ホルンアンサンブルの面白さはありますね。しかも全員プロですから、初めて音を出したときからきちんと音楽になって、そこから練習を重ねていくので、メンバーは替わっていますけれど、AHEJという団体は大先輩の代からこうやって受け継がれていくんだなあと思いました。だから、単純に楽しいですよ。僕より若い人も増えたし、先輩方の意見も吸収できるし、いいとこ取りです(笑)」

伴野

「実は10月からドイツ・フランクフルトに1年間留学するので、AHEJの今年の演奏会はそのスケジュールに合わせていただいて……。参加する演奏会としては2回目ですが、さらに新しい人も加わって、人数も前回より増えたので、何かが変わるかもしれませんね。新しい人とは言っても、いつもよく会っているような人ばかりですが……」

ヤマハホールのステージにて

ヤマハホールのステージにて


 では、AHEJの初期から参加しているメンバーに、今回の演奏会の聴き所を含めて、お話をうかがった。


金子

「これまでも毎回取り上げてきたワーグナーは今回も入れます。今年は《さまよえるオランダ人》の序曲を全曲、カットなしで演奏する予定です。編曲はいつもお願いしている小林健太郎さんで、今回の演奏会のために依頼しました。
 AHEJもメンバーにだいぶ入れ替えがあったので、サウンドの傾向としては大きく変わらないと思いますが、よりフレッシュな雰囲気が出せるのではないでしょうか。2008年秋には、ベルリンフィルのシュテファン・ドールとサラ・ウィリスをゲストに迎えて”特別演奏会”という形で行ないましたが、定期演奏会としては2007年以来3年ぶりということになります。このときから考えれば、約半分くらいのメンバーが入れ替わっていることになりますから」

有馬

「ゲストを迎えての特別演奏会と、我々だけで行なう定期演奏会というのは、やはり違いがあると思います。まあ、実際何が違うかというと、大きくは変わらないのですが、気持ち的な部分でね。それから、AHEJは1999年の結成ですから、昨年で10周年を迎えていますので、そういう意味でも一区切りということになりますね。
 今年は東京と名古屋で演奏会を開きますが、名古屋公演では向こうのオーケストラのメンバーと合同で演ることを予定しています」

竹村

「またこのメンバーと一緒に楽しく音楽を作っていけるということは大きな喜びです。僕自身が愛知県立芸術大学の准教授になり、名古屋に住んでいますのでスケジュールの点でご迷惑をかけることもありますが、可能な限りやっていきたいと思っています。
 オーケストラを退団して2009年秋に大学に移ったばかりなのですが、これからはソロ活動などもして行きたいと思っていますし、ずっと現役プレーヤーのつもりでいます。オーケストラに在籍しているときとは違ったアプローチで活動ができると思いますので、自分自身楽しみにしています。特に今回AHEJの名古屋公演もあって、地元での演奏となりますので、今教えている学生さんもたくさん来てくれると思いますので、良いところを見せられるのではないかなと思っています(笑)」

久永

「定期演奏会という形は3年ぶりだし、メンバーも今回3人が新しく参加ということですが、それに当たっては誰に入ってもらうかをかなり話し合い、今最強と思える3人で、もちろんアレキサンダーユーザーに声をかけました。
 全員がアレキサンダーという楽器を使うことに変わりはありませんが、これまでのアレキサンダーサウンドがどう変化するかは我々としても楽しみなところです。言ってしまえば、11年目を迎えて、第2世代のAHEJがこれから始まるのかなという意識です」

カメラを向けると、こんなポーズを取ってくれた。この雰囲気が、まさにAHEJだ

カメラを向けると、こんなポーズを取ってくれた。この雰囲気が、まさにAHEJだ


久永

「そういえば、金子さんは今回は指揮者デビューもあるんだよね」

金子

「じゃあ、今回は楽器を吹かずに、全曲棒にしようかな」

竹村

「いや、ハイトーン要員として必要だから」

金子

「じゃあ、棒とハイトーンだけでいい?」

 どこまで本当かわかりませんが……。いろんな意味で楽しみな演奏会です(笑)。


後日、別の場所にて、練習風景を1枚

後日、別の場所にて、練習風景を1枚






【演奏会情報】

■アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン 第7回定期演奏会
9月19日 19時開演 東京文化会館小ホール(東京)

■アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン 名古屋特別演奏会
9月20日 19時開演 電気文化会館 ザ・コンサートホール(名古屋)


【演奏予定曲目】
(※あくまで、6月現在の予定曲であり、変更される可能性もあります)

バーンスタイン/《キャンディード》序曲
G.バルボトゥー/Formule 6 for 6 horns
ワーグナー/《さまよえるオランダ人》序曲

R.ビッシル/Three Portraits
J.F.ギャレイ/トリオ No.2

【AHEJメンバー】

有馬純晴(東京都交響楽団)
上間善之(東京交響楽団)
高橋臣宜(東京フィルハーモニー交響楽団)
伴野涼介(読売日本交響楽団)
久永重明(読売日本交響楽団)

上里友二(シエナ・ウインド・オーケストラ)
金子典樹(新日本フィルハーモニー交響楽団)
竹村淳司(愛知県立芸術大学准教授)
野見山和子(東京都交響楽団)
藤田麻理絵(新日本フィルハーモニー交響楽団)



文=「アレキサンダーファン」編集部 今泉晃一

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