アレキサンダーファン
2009年04月掲載
第36回 アレキファン的「ホルンの“ホ”」
フランクフルト・ミュージックメッセ2009アレキサンダー社ブースレポート
4月1日〜4日までドイツ・フランクフルトにて世界最大級の楽器フェア・ミュージックメッセが開催されました。アレキサンダー社からは巷で話題のモデル103生誕100周年記念モデルの発表があったミュージックメッセ。今回はその模様を事務局スタッフがレポートします。
ミュージックメッセ入り口
ミュージックメッセ入り口
アレキ社ブース!
アレキ社ブース!

 4月1日〜4日までアレキサンダー社のあるマインツから程近く、日本からの直行便が到着するドイツ・フランクフルトにて世界最大級の楽器フェアであるミュージックメッセが開催されました。今回のミュージックメッセでは1909年の誕生から今年で記念すべき100周年を迎えた代表的モデル103の全世界限定25本復刻モデルが遂にお目見えしました。

これが限定モデルだ!
これが限定モデルだ!

 この復刻モデルに関しては昨年2008年のミュージックメッセで発表があり、5月の第3回ミュージックキャンプの際にフィリップ・アレキサンダー社長からもキャンプ参加者に案内があったりでご存知の方も多い事と思います。しかしながら100年前のフォルムを忠実に再現するには細かなパーツの調達、製造が困難を極め、またアレキサンダー社から発表するモデルであるからには音色、吹奏感、そして操作性等、その楽器としての性能が当然優れたものでないといけないとの拘りから、なかなか製作が進まず、発表より1年を経た今回のミュージックメッセにて初めてプロトタイプが一般に公開されることとなったのです。

レバー連結部分に刻印が入っているのがわかりますか?
レバー連結部分に刻印が入っているのがわかりますか?
リードパイプには「記念モデル」と刻印が!
リードパイプには「記念モデル」と刻印が!

 このモデルはアレキサンダー社が保管予定のプロトタイプ1本を除けば全世界限定25本のみの製造となり、その価値は計り知れないものがあります。フィリップ社長曰く、「絶対にこれ以上製造することは無い(だって大変なんだもん)。」とのことで、日本にはそのうちの何本が入荷となるのかはまだ決定していないようです。また価格も未定とのことですが、この1、2ヶ月以内には正式な発表があるものと思われます。
 尚、仕様はワンピースベルにノーラッカー仕上げが基本。現在はプレートが貼り付けられているアレキサンダーロゴは手彫りとなっており、レバーやレバーの連結棒、小指掛けなどの各部パーツは100年前と同様の形状をしています。残念ながら100%同じと言うわけにはいかないようですが、しかしながら遠目から見ればその姿が現在でもあまり変わらないことが逆に大きな驚きとも言えます。ちなみに楽器の機能的な部分はルブリケーションチャネルシステム(アレキサンダー総合カタログP28をご覧あれ!)など、現代のテクノロジーによって生み出されたパーツを活用しているため、厳密に言えば100年前のフォルムと現代の最新楽器製造技術が結合された(どこかで見たことがある文章ですね・・・)モデルとも言えます。尚、購入者は事前予約が必須となっており、自身の名前をローマ字で彫り込んでくれるとのこと。また限定番号もレバー裏面に刻印されており、本当に貴重なモデルになります。果たしてどのような音色がするのか、持った感じがどうなのか、ショーケース越しに見ただけですのでわかりませんが、アレキサンダー103の名前が付いている以上、極上の響きであることは間違いないでしょう。

ケースも100年前をイメージしたもの!
ケースも100年前をイメージしたもの!
紅いシックな内装
紅いシックな内装

 尚、この100周年記念モデルの画像等は現在では以下のアレキサンダーの本国版ホームページにて見ることが出来ます(日本版は後日更新予定とのこと)。

 http://www.gebr-alexander.com/

 さて話変わって、今回のミュージックメッセにはAHOC会員でもある福井日陽さんも足を運ばれていました。とは言っても、実は事務局スタッフと待ち合わせてアレキサンダー社ブースに行ったのですが、、、福井さんは第1回ミュージックキャンプに参加、大阪音楽大学を卒業した後、プロ奏者を目指し、現在はドイツ・ロストックにて研鑽を積む日々を送ってらっしゃいます。そんな福井さんから初めて訪れたメッセ、そしてドイツ生活を通じての感想を聞いていますので、どうぞ!


ミュージックメッセを訪ねて From 福井 日陽
福井日陽さん!!
福井日陽さん!!
 4月1日、2年越しの夢が叶いミュージックメッセに参加してきました。
毎年、復活祭前にフランクフルトで開催されているのは知っていましたが、都合がつかず今年こそはと思っていたら、AHOC事務局のTさんよりおさそいを受けて気分ルンルン?でフランクフルトに行ってきました。

アレキサンダー社のあるマインツが、このフランクフルトの隣にあるということもあって、フランクフルトにはよく行くほうで毎回ハンブルクから飛行機なのですが、今住んでいる北ドイツのロストックにはローカル空港しかありません。飛行機に乗ろうと思ったら、電車で3時間ほどかけてハンブルク空港まで行くしかないのです。ちなみにこのロストックの空港には、2007年6月に行われたハイリゲンダム・サミット(G8)の時に各国の政府専用機が来ました。日本の政府専用機も2機。それだけの飛行機が来るぐらいなのでそこそこ大きいとは思うのですが、まだまだローカル空港です。ドイツのフラッグキャリアであるルフトハンザドイツ航空も就航していません。これは、まだ旧東ドイツという土地柄が影響しているのかな?と思います。
ロストックからはどこに行くにも電車に必ず乗らないといけないのですが、今回はゆっくり行こうと思い、電車一本で片道7時間かけて行きました。ここで役立つのがDVD。往復で映画4本見ました。もちろん全て日本のものです(笑)
帰ってから、やっぱり飛行機(片道1時間)にすればよかったと思いました・・。
ロストックはきれいな街で大都市ではないのですが、バルト海に面していて住みやすくて気にいっています。近くに国際空港がないのだけが難点です。

さて、本題に。
ミュージックメッセ・・・

世界中から楽器メーカーが集まっての博覧会みたいな感じでした。また、楽器本体と関連商品のビジネス見本市だと率直に思いました。もともとメッセ自体がビジネス主体ではありますが。いろんな楽器が並んでいながら、芸術の世界だけでなく経済や産業というものを重ね合わせて見回っていた気がします。ここ最近の不況でブース出展メーカーが減っていると聞きましたが、それでも多くのメーカーが出展していて驚きました。
音楽や芸術がこの世にある限り楽器は必ず必要なわけで、不況だからといって楽器そのものの価格を下げるわけにもいかず、もし製作コストを下げようとすれば楽器そのものに影響し、それが音色や吹奏感、操作性などに関係するわけで・・・とかいろいろ試行錯誤しながら、各メーカーは機械・電気などの大手企業と変わらない努力をしているんだなと感じました。

毎日株価や為替などのニュースを見ながら思うのは、やはりアメリカ経済が世界に影響しているということ。オバマ新政権になって、多少は落ち着いてきたと思うものの、まだいつ何が起こるか?という不安は世界中にあるでしょう。
経済が落ち着かないと、音楽芸術の繁栄はありえません。
今は、これからの経済復興にオバマ大統領に期待するしかないでしょう。
プロ野球みたいに、ひとつのコンサートに何万人と観客が入れるわけではないのですから、芸術にスポンサーというものは必要不可欠です。モーツァルトなどの作曲家も、宮廷の援助を受けながら生活していたのです。
経済に対して何かできるわけではなく見守るしかないのですが、世界平和を基本に人類が笑って暮らせる世の中になってほしいものです。

ドイツは、政府が芸術・学問に多大な理解があり、恵まれていると言われています。
それは昔からの文化であり、延々継承されてきているわけでドイツ国民にとっては普通のことでしょう。国によって芸術への理解度の違い、文化形成の差などありますが、日本も先進国として芸術文化にもっと投資すべきだと思います。いいホールや建物だけを世界の一流にしても意味がありません。

今回、このメッセに行って考えさせられたのが、自分にとって異国の地で行われた事もあったのでしょうが、音楽を支えている経済や産業の事でした。
先にも述べたように、何かできるわけではないのですが、音楽をしている者として周りの物事にもっと興味をもっていきたいなと思いました。

12. April. 2009
Hochschule fuer Musik und Theater Rostock
ドイツ国立ロストック音楽・演劇大学
福井日陽



福井さん、ありがとうございました!このドイツ便り、今後もお願いしたいですね。それはさておきこれからもプロ奏者を目指し、是非とも頑張っていただきたいものですね♪
それにしても楽しみな103の100周年記念モデル、また続報が入りましたらお知らせしますね!
以上、フランクフルト・メッセ2009レポートでした♪



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