アレキサンダーファン
2006年12月掲載
第23回 アレキファン的「ホルンの“ホ”」
アレキサンダー社工房訪問ツアー ツアーレポート(前編) 2006.10/7〜11




2006年10月7日〜11日 ドイツ・マインツ

 アレキサンダーホルンオーナーズクラブ(AHOC)設立当初から話題に上っていた企画である、《アレキサンダー社工房訪問ツアー》がついに開催された。「アレキサンダーファン」でも実施が発表されていたからご存知の方も多いかもしれないが、2006年の10月7日〜11日という日程で、アレキサンダー社のあるドイツ・マインツに滞在し、アレキサンダー社工房の見学がその目玉となるツアーである。
 実際に参加してみたら、目玉がいくつもあって多すぎるくらい、充実度満点であった。
 今回のツアー参加者は6名(+スタッフ)。連休初日で混雑する成田空港に楽器持参で集合し、早速チェックイン。取り立てて自己紹介などは行なわないが、そこはホルン吹き同士、なんとなく話がはずむ。問題は飛行機における楽器の取扱いだ。機内持ち込みに対応したサイズのフライトケースなら本来は手荷物として機内持ち込みができるはずなのだが、この日の飛行機は満員で、荷物スペースの都合で難しいという。「楽器だから取扱いに注意して下さい」と念を押し、同時に「万が一何かあっても航空会社側で弁償はしない」という誓約書にサインをさせられ、預けることになった。
(今回利用した航空会社はANAであったが、この辺りの対応は航空会社によって異なると思われる)


フィリップ社長が空港にお出迎え

 約11時間のフライトの末、ドイツの空の玄関口、フランクフルト・マイン空港に到着。楽器も無事に出て来てほっとする。
 全員揃って到着ロビーに向かうと、そこには“Welcome AHOC To Gebr. Alexander Mainz”の旗とフィリップ・アレキサンダー社長の笑顔が待ち受けていた。挨拶の言葉をいただき、我々のために調達してくれたマイクロバス(運転するのはアレキサンダーの社員、パンクラッツ氏)とフィリップ社長のメルセデスに分乗してマインツのホテルまで送っていただいた(マインツはフランクフルトからほど近く、約30分で到着)。

ドイツのフランクフルト・マインに到着した我々を、フィリップ・アレキサンダー社長が迎えてくれた
ドイツのフランクフルト・マインに到着した我々を、フィリップ・アレキサンダー社長が迎えてくれた
後ろはツアー期間中、パンクラッツ氏が運転して我々を運んでくれたマイクロバス。前にあるのはフィリップ社長のメルセデス。こちらにも乗せてくれたのだが、席の取り合いは激しかった(笑)
後ろはツアー期間中、パンクラッツ氏が運転して我々を運んでくれたマイクロバス。前にあるのはフィリップ社長のメルセデス。こちらにも乗せてくれたのだが、席の取り合いは激しかった(笑)

マインツ市内の様子
マインツ市内の様子
“Musik Alexander”の広告を掲げるバスを発見!
“Musik Alexander”の広告を掲げるバスを発見!

 それにしても、このツアーがアレキサンダー社の好意のもと、手作りで企画・運営されていることを実感した。この後3日間にわたってフィリップ社長、パンクラッツ氏、そしてオーナーズミーティングに来日したこともあるマイスター、ガートナー氏や営業部長のヘルマン氏などがずっと我々を案内してくれたのであった。
 その晩はマインツ市内にある、ビール醸造所を持つ居酒屋で親睦会が開かれた。この店はフィリップ社長のお気に入りということもあって、自家製のビールやソーセージ、シュニッツェル(ウィーン風カツレツ)などの料理の美味しいこと! 
 ツアーメンバーは皆長旅の疲れをものともせず、参加者同士、そしてたどたどしい英語やドイツ語で(中には流暢な人もいたが)アレキサンダー社のスタッフとの交流を図った。

1日目の夕食はマインツのビアホール“Eisgrub”にて。ビール醸造所でもあるので、自家製のビールがとにかく美味しい
1日目の夕食はマインツのビアホール“Eisgrub”にて。ビール醸造所でもあるので、自家製のビールがとにかく美味しい
ここの名物(?)、その名も「1.5m」。ビアジョッキが1ダース乗るので相当重いはず。こころなしか笑顔が……
ここの名物(?)、その名も「1.5m」。ビアジョッキが1ダース乗るので相当重いはず。こころなしか笑顔が……


ライン下りの船で、ローレライの岩壁の上でホルンアンサンブル

 一夜明けてツアー2日目はまずライン下りから。再びフィリップ社長とパンクラッツ氏の運転でライン河畔の観光名所リューデスハイムの船着き場に向かう。すると桟橋から金管楽器の音が……。「さすがドイツ、どんなところにも音楽がある」と感心していると、なんとそれは我々を迎えるためにアレキサンダー社員(とその家族)により特別に結成された、その名も「アレキサンダー・ブラスバンド」の演奏だった。
明けてツアー2日目。リューデスハイムの船着場から本物のライン下りの船に乗る
明けてツアー2日目。リューデスハイムの船着場から本物のライン下りの船に乗る

我々を桟橋で迎えてくれた“アレキサンダー・ブラスバンド”。この日はずっと同行してくれた
我々を桟橋で迎えてくれた“アレキサンダー・ブラスバンド”。この日はずっと同行してくれた
雄大なライン川の眺め
雄大なライン川の眺め

船上でのホルン演奏。「ドイツ国家」では、一般のお客さんとともに盛り上がり、拍手も一段と大きかった
船上でのホルン演奏。「ドイツ国家」では、一般のお客さんとともに盛り上がり、拍手も一段と大きかった
 ライン下りの船に彼らとともに乗り込み、再びアレキサンダー・ブラスバンドの演奏と美しいラインの景色を堪能したあと、この日のメインイベント、船上でのホルンアンサンブル演奏となった。このためにツアーメンバーは自分の愛器を船内に持ち込んでいたのだ。
 参加者の一人が持参したオリジナルの譜面で「夏の想い出」と「ドイツ国歌」を演奏する。デッキに居合わせたお客さんも一緒に盛り上がり、特にドイツ国歌の演奏では胸に手を当て、一緒に歌う人も多く、見ていてちょっとじわっと来た。もっとも演奏している方はそれどころではなかったようだが……。

ラインと言えばホルンというイメージ(シューマンもそう思ったはず)。まさに絵になる風景だ
ラインと言えばホルンというイメージ(シューマンもそう思ったはず)。まさに絵になる風景だ
フィリップ社長、アレキサンダー・ブラスバンドのメンバーを含むアレキサンダーのスタッフもビールとともに一休み
フィリップ社長、アレキサンダー・ブラスバンドのメンバーを含むアレキサンダーのスタッフもビールとともに一休み
昼食は、ライン河畔の芝生の上でピクニックランチ
昼食は、ライン河畔の芝生の上でピクニックランチ

 1時間半ほどで下船すると、ランチだということで車に乗る(我々が船旅を楽しんでいる間に車を回してくれていた!)と、芝生のきれいなライン河畔にピクニックテーブルが。これもアレキサンダーで用意してくれたランチで、料理も社員のお手製のものが並ぶ。
 良い天気、きれいな景色、美味しい料理を堪能した後は、途中船でも通過した有名な「ローレライ」に行く。そこはまさに高い崖の上。展望台からの眺めは、絶景だ。ここでもホルンアンサンブル。残念ながらホルンアンサンブル用の「ローレライ」の譜面は持って来ていなかったが(代わりにアレキサンダー・ブラスバンドが演奏してくれた)、ローレライの歌の代わりにホルンのハーモニーがライン川に響き渡ったのだった。
料理はアレキサンダー社員の手作りが並ぶ。もともと美味しいのだが、景色が味を倍増してくれる
料理はアレキサンダー社員の手作りが並ぶ。もともと美味しいのだが、景色が味を倍増してくれる

「ローレライ」の高い崖の上の展望台で、まずアレキサンダー・ブラスバンドが「ローレライ」を演奏
「ローレライ」の高い崖の上の展望台で、まずアレキサンダー・ブラスバンドが「ローレライ」を演奏
ツアーメンバーもそれに負けじとホルンアンサンブルを披露した。はるか下を通る船にホルンの音色は届いただろうか
ツアーメンバーもそれに負けじとホルンアンサンブルを披露した。はるか下を通る船にホルンの音色は届いただろうか
ライン下りの船からは崖しか見えないのだが、その上にローレライの像はある
ライン下りの船からは崖しか見えないのだが、その上にローレライの像はある


ブドウ畑をハイキング、そして夜にはワインを味わう

リューデスハイムからリフトで登ったニーダーヴァルト山にある女神ゲルマニアの像……なのだがあまりに大きくファインダーに収まらない。その足元に佇むフィリップ社長とヘルマン氏
リューデスハイムからリフトで登ったニーダーヴァルト山にある女神ゲルマニアの像……なのだがあまりに大きくファインダーに収まらない。その足元に佇むフィリップ社長とヘルマン氏
 さらに車でライン下りの出発点、リューデスハイムに戻り、広大な(ワイン用)ブドウ畑を眼下に見ながら、リフトでニーダーヴァルト山に登る。ここには1871年のドイツ帝国統一の巨大な記念像が建てられており、その姿はライン下りの船からも見ることができた。

 しばし散策をしたのち、ブドウ畑の中を徒歩で下山。いつのまにかガートナーさんが一房のブドウを手にしており(どこから入手したか、は聞かないで下さい!)、食べてみると酸味と甘みのバランスがよく、爽やかな味わい。これが世界有数のワイン用ブドウの産地である、ライン河畔地域産のワインになるわけだ。

ニーダーヴァルト山から裾野一面に広がるブドウ畑を望む
ニーダーヴァルト山から裾野一面に広がるブドウ畑を望む
ブドウ畑の中の道を歩いていると、ガートナー氏がどこからか(?)ブドウを入手。ワイン用だが、食べても美味しい
ブドウ畑の中の道を歩いていると、ガートナー氏がどこからか(?)ブドウを入手。ワイン用だが、食べても美味しい

 というわけで、その日の夜はこのライン河畔で代々ワインを作り続けているというワインハウスで、自家製の爽やかな甘さの白ワインとこれまた美味しくボリューム満点の料理をいただいた。しかし、飲んで食べてばかりだなあ。
 さて次の日にはこのツアーの目玉中の目玉、アレキサンダー社訪問&工房見学が待っている。しかもとんでもないサプライズが……(続く)







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