アレキサンダーファン
2008年01月掲載
ホルンなんでも盤版Bang! 〜ライブラリー〜 「ホルンなんでも盤版Bang!」
ホルン関係のCD・楽譜情報を発信していきます!!


このコーナーでは、ホルンに関するディスクをご紹介いたします。
みんな知っている超定盤、「こんなのあったのか」という珍盤など、ホルンが活躍するものなら何でも。その中から今回はこの2枚です。
ここでご紹介する盤は基本的には筆者のライブラリーですので、当サイトへの、入手方法などに関するお問い合わせはご遠慮くださるよう、お願い申し上げます。


盤版Bang!ライブラリー019

Sinfonia Hornisten
シンフォニア・ホルニステン
(林 伸行、広川 実、須田一之、小椋順二)
フルート:清水信貴
Sinfonia Hornisten
1〜3. ホミリウス/四重奏曲変ロ長調
4. ドップラー/森の小鳥たち
〜フルートと4本のホルンのための〜
5. ノイリンク/狩猟四重奏曲
6. バルボトゥー/フリュタコランヌ
〜独奏フルートと4本のホルンのための〜
7〜10. リード/4本のホルンのためのフランス組曲
11〜16. ボザ/4本のホルンのための組曲
17. ヴンデラー/ギャロップ(アンコール)
ワコーレコード WKCD-0009

▼福岡、京都、東京、仙台を中心に活動するメンバーが集まったホルン四重奏団、シンフォニア・ホルニステン。2003年結成以来、元来ホルン四重奏のために書かれた曲によってプログラムを組み、日本中の様々な地方での演奏会を成功させている。そのシンフォニア・ホルニステンが2007年に初めてCDをリリースした。それもホルンアンサンブルの定番曲を中心としたデビューアルバムと、中学生・高校生にも演奏しやすい小品を集めた《ホルンフェスト》の2枚を同時発売。今回は2枚合わせてご紹介する。
▼《シンフォニア・ホルニステン》をそのままタイトルとしたデビューアルバムは、ホミリウス、ノイリンク、リード、ボザなどホルン四重奏曲のスタンダードナンバーを中心に据え、そこにフルートとホルン四重奏という変わった編成のドップラーとバルボトゥー、そしてアンコールピースとも言えるヴンデラーの「ギャロップ」を加えたプログラミング。
▼シンフォニア・ホルニステンのメンバーは全員がアレキサンダー103を使用。録音した滋賀県高島市のガリバーホールの豊かな響きともあいまって、輝かしく朗々とした「これぞホルンアンサンブル」というサウンドを聴かせてくれる。時には荒々しく、時にはしっとりと、時には神々しくと、様々な表情を見せるが、全体を通して上品で美しいハーモニーを堪能できるCDだ。
▼超絶技巧を必要とする曲は少ないが、それだけに丁寧に演奏し、完成度を高めている点に非常に好感が持てる。4人のメンバーの活動拠点が離れているが、その分濃い練習をしていると想像できるし、メンバー固定のホルン四重奏団としてすでに5年目ということで、お互いに息の合っていることがよくわかる演奏だ。
▼演奏会でもテューバとのジョイントなど様々な試みをしてきたシンフォニア・ホルニステンだが、2曲目に収録されているドップラーの「森の小鳥たち」、4曲目のバルボトゥー「フリュタコランヌ」といったフルート1本+ホルン4本という編成も実際に演奏会で取り上げたものであり、他の団体ではめったに演奏されない曲であろう。これらを聴くと、まさに「森を創り出すことのできる」ホルンのハーモニーと、その中を自由に駆け回るフルートの取り合わせが意外に相性のいいことに、目からうろこが落ちた。



盤版Bang!ライブラリー020

ホルンフェスト
シンフォニア・ホルニステン
ホルンフェスト
1. ディロン/舟歌
2. オストリンク/ホルンの為の四重奏曲
3〜6. コークリー編集/ホルン四重奏の為のコラール より
7〜8. オストランスキー/エオリアン組曲 より
9〜11. シューベルト(レイノルズ編曲)/6つの四重奏曲 より
12〜14. メンデルスゾーン/3つのコーラス
15〜16. ベルンハルト・ウェーバー/四重奏曲第1番
17〜19. ウィンター/若いホルン奏者の為の組曲
20〜22. ハイドン(レイノルズ編曲)/6つの四重奏曲 より
23〜24. フランツ・シュトラウス/6つの四重奏曲 より
25〜28. プラーガー/組曲
29. ランダル/セレナーデ
30〜33. プレトリウス/バロック組曲
ワコーレコード WKCD-0010

▼親しみやすく比較的平易な曲を集め、吹奏楽部に所属している中・高校生にももっとホルンアンサンブルを楽しんでほしいという意図が込められたアルバム。解説にもあるように、組曲から数曲を抜粋し、さらに演奏順を変更してまとまりをよくし、演奏時間も多くの曲で5分以内に納めているから、ホルン四重奏でアンサンブルコンテストに出場しようという人たちにとっては非常に役に立つレパートリー集として使える。楽譜の出版社が明記されているから譜面も探しやすく、また曲目解説に加えて演奏の際のワンポイント・アドバイスも掲載されている。何よりも、美しい響きと豊かなハーモニーによるしっかりとした演奏がお手本としてあるということが嬉しい。
▼収録曲は、あまりプロのホルンアンサンブルが演奏会で取り上げないようなものが多く、曲名を見てもピンと来ないものもばかりだが、聴いてみると「どこかで耳にした」とか「どこかで吹いたことがある」と感じる曲も多い。そうでなくても、構成が複雑でなく、メロディがとても親しみやすいものばかりだから、一度聴けばどんな曲かすぐ把握できるだろう。
▼演奏に当たっても、技巧的にもそれほど難易度が高くないから、ホルンの醍醐味である分厚いハーモニーを作ること、そして音楽性豊かにたっぷりと歌うことのいい練習になる。まさにそういう演奏であるこのCDを目標として、しっかりと曲を仕上げたとしたら、吹奏楽やオーケストラに戻ったときに、パートとして確実にレベルアップしていることだろう。
▼個人的に、アンサンブルコンテストなどのレパートリーとして特にお薦めと感じた曲を挙げておこう。オストリンクの四重奏曲はソロとハーモニーの役割のバランスが取れていて、またリズミカルな部分と中間部の「どこかで聴いたような(?)」メロディの対比も楽しい。メンデルスゾーンの「3つのコーラス」は3曲の曲調がバラエティに富んでおり、どれもオーソドックスなホルンアンサンブルの趣があって、しかも曲の完成度の高さが魅力。自身が優れたホルン奏者であり、かのR.シュトラウスのお父さんであったフランツ・シュトラウスはホルンの名曲をいくつも残しているが、ここに収録されている「6つの四重奏曲」も魅力的なメロディとホルンらしいパッセージがちりばめられた本格的なホルンアンサンブル曲だ。プラーガーの「組曲」は古典的なスタイルで書かれているが、少しだけひねりが利いており、洒落た雰囲気を持っている。4曲中、1曲目+2曲目で5分弱という演奏時間になる。
▼なお、楽譜や演奏に関することは、シンフォニア・ホルニステンのホームページ http://sinfo.horn.jp/ でメンバー自らがサポートしてくれる。疑問点があればぜひ質問してみよう。また同ホームページからは、ここで紹介したCDの購入も可能だ(送料無料!)

アレキサンダーファン編集部:今泉晃一



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