アレキサンダーファン
2006年09月掲載
プロフィール
冨成裕一(とみなり・ゆういち) 冨成裕一
(とみなり・ゆういち)
1977年、国立音楽大学卒業。武岡賞受賞。千葉馨、大阪泰久、近藤望の各氏に師事。国立音楽大学在学中に東京交響楽団に入団。1984年、読売日本交響楽団に入団、現在に至る。他にホルンアンサンブル「つの笛集団」、ピアノと管楽五重奏団「織笛」、「紀尾井シンフォニエッタ東京」などの室内楽にも多数参加。東京音楽大学非常勤講師。
使用楽器:アレキサンダー 1103MBL、103MBL
使用マウスピース:JK 2DM
第23回 プレーヤーズ
冨成裕一 インタビュー

国内外のホルンプレーヤーにスポットを当て、インタビューや対談を掲載するコーナー。
ホルンについてはもちろん、趣味や休日の過ごし方など、
普段知ることの無いプレーヤーの私生活についてもお伝えします。

─現在お使いの楽器は?
今年から1103を使い始めました。赤と黄色を両方試してみましたが、これまでずっと黄色ベルを吹き続けていたので、やはりイエローブラスが馴染みましたね。


─それまではずっと103ですか。
そうです。少し前まではノーラッカーの103を20年近く使っていました。実は103自体は頻繁に新しい楽器を試してはいるのですが、最初良いと思ってもしばらく経つと昔から使っていた楽器に戻ってしまうんですよ(笑)。その繰り返しです。


─でも手放されてしまった。
81年の製造の楽器でしたから、自分自身も慣れていて良かったんですが、音がくたびれて来てしまったのであきらめました。


─その楽器を最初からずっと使われていたんですか。
いえ。アレキサンダーを初めて買ったのは高校生の頃で、ワンピースのB♭シングルでした。国立音大受験の前に買いました。


─Bbシングルを選ばれたというのは何か理由があったのですか。
冨成裕一
単に安かったからです(笑)。当時フルダブルはちょっと買えませんでした。
それで国立音大に入ってからは、大学備品の103を使っていました。月数百円で貸してくれていたので。


─それはいいですね。
卒業前から東京交響楽団に入って吹いていたのですが、内緒で大学の楽器を持って行って吹いていました。もう時効だから言ってもいいでしょう(笑)。
しかしその大学の103も、昔のアレキサンダー独特の音色というんでしょうか、すごく良い音がしましたね。


─ところで、ご出身はどちらですか。
生まれは神戸です。それで高校生のときにホルンを習ったのが、大阪フィルの近藤先生。


─ホルンを始められたのはいつからですか。
冨成裕一
高校の吹奏楽部でです。
実はその前からやりたかったのですが、中学の吹奏楽部ではホルンに空きがなくて、バリトンを吹いていました。「同じ金管だし、バリトンを吹いていたらホルンも吹けるようになるかな」ぐらいの気持ちでした(笑)。


─中学でいきなり「ホルンをやりたい」と強く思ったのには、何か理由が?
小学生の高学年の頃、レコードでオーケストラをよく聴いていて、やはり「ホルンが良いなあ」と。 もともとピアノはやっていましたが、ピアノは好きではなかったですね。練習が嫌で嫌で(笑)。でもおかげでクラシックは好きになりました。


─それで、高校でやっと念願かなってホルンができた。
いやあ、嬉しかったですよ。中学時代も「ホルンがやりたいなあ」とずっと思っていましたから。
中学、高校とも吹奏楽でしたが、オーケストラに対する憧れはずっと持っていました。まあそれで音大を受けたようなものです。


─でもかなり早い段階から音大に行くことを決めていたんですね。
冨成裕一
他の進路は考えていなかったですね。ただホルンが吹きたくて、勉強そっちのけで楽器を吹いていました。
高校に入った頃から習っていた近藤先生に千葉先生を紹介していただき、受験前にも東京に来てレッスンを受けました。
国立音大に行ったのは、ひとえに千葉先生に習いたかったからです。


─千葉先生はレッスンではどんな印象でしたか。
やはり怖いイメージですね。ちゃんと練習していかないと怒られるんです。
だから、レッスンの時には最初にレッスンを受ける人が重要になってきます。最初の人があまりさらってないと、一日中機嫌が悪くて。
エチュードなどもすべて暗譜でしたから、かなり練習しないといけなかったですね。


─在学中からオーケストラに入って活動されていましたが、いかがでしたか。
当時入っていた東京交響楽団は本番が多くて、忙しくて大変でした。でも楽しかったです。
その代わり大学でレッスンを受ける機会が減ったのは残念でしたが。


─それから現在の読売日本交響楽団(読響)に移られたわけですが、オケの違いによる吹き方の違いみたいなものはありましたか?
特には感じませんでした。自然に入って行けた気がしますね。
山岸さん(山岸博氏/読響ソロ・ホルン奏者)がちょうど日本に帰ってこられた頃でしたが、山岸さんのサウンドには相当刺激を受けました。


─ホルンアンサンブル「つの笛集団」には最初から参加されてますよね。あれはどんな経緯で結成されのでしょうか。
なんで始めたのかははっきりしません。当時から「東京ホルンクラブ」が千葉先生を中心に活動していましたが、同じ世代にホルン吹きの間でも「アンサンブルをやりたいね」という話になって。


─ところで、冨成さんはつの笛集団で「デュオ冨成」というニックネームがあるようですが、その意味は?
ちょっと言いづらいなあ(笑)。興味がある方は、本人に直接尋ねてみてください。


─ところで「つの笛」といえば毎年夏に行なわれている合宿も人気がありますよね。
1999年から始めて、多いときは80人くらい参加者がいます。
今年は「ほら貝を作ろう」という企画を西郷(雅則)くんが企画しまして、生のほら貝をいくつも仕入れて、その中身を出して乾かすところから始めました。宴会にはゆでたほら貝が出ていましたよ。私は食べませんでしたが(笑)。できたほら貝はなかなか良い音で鳴っていました。


─冨成さんは何か企画をされたんですか。
ワーグナーテューバのアンサンブルは私の担当でした。ワーグナーテューバってなかなか吹く機会がないですから、皆さん興味があるようでした。
私はオケでもなぜか吹くことが多いのですが。


─ワーグナーテューバを吹くのはお好きですか。
うーん。好きかと言われるとちょっと……。進んで吹きたいとは思いませんね。やはり音程とか難しいし。
でもちゃんと合った時は良いハーモニーになりますし、すごく気持ち良いですけれど。


─ホルンの音としては、どんな音が好きですか。
昔はドイツのオケの音が好きでしたが、今はどの国のオーケストラのホルンの音を聴いても良く聞こえるようになってきました。「いろんな音があっていいかな」という感じですね。


─話は最初に戻りますが、最近使い始めたガイヤー型の1103の印象はいかがですか。
冨成裕一
1103の良いところは、息が自然に入って、楽に吹けるということですね。103と同じつもりで吹くと吹きすぎてしまうほどです。でも、ピアノも楽に出せます。
特に私は読響で下吹きなので、息が入りやすくコントロールしやすいというのはポイントです。
逆に103の魅力は、輝かしい音色でしょうね。特に上の方の音はどこまでも伸びていくような感じで。


─AHOC会員に、同じアレキサンダー吹きとしてアドバイスをいただけますか。
アレキサンダーに限りませんが、ホルンを吹くには息の流れをイメージすることが大切です。楽器の奥の方まで息を流し込むようにすると、良い音が出るようになるのではないでしょうか。



一問一答コーナー

─スポーツなどはされますか。
野球は好きですね。読響に野球チームがあって、読響の練習場の近くで練習しています。他のオケと試合をやったりしましたよ。今はピッチャーが留学中なのでお休みですが。

─他には何か。
読響にサッカーチームもあって、何回か練習に参加したのですが、野球と違ってずっと走り回っていて休む暇がないので、ちょっときついですね。

─映画がお好きだそうですが、最近は?
最近は忙しくて、あまり見ていないですね。ちょっと前に見た「M:i:III」は面白かったです。
これまで見た中では、「E.T.」とか「マイ・フェア・レディ」とかが好きですね。

─家でよく聴かれる音楽は?
クラシックはあまり聴きませんね。ジャズボーカルとか聴くことが多いです。
ジャズではありませんが、一青窈(ひととよう)は最近よく聴いています。

─お休みの日によくすることは何かありますか。
休み関係なく、鳥の世話と亀の世話はしなくてはならないので、毎日やっています(笑)。
文鳥とミドリガメですが、どちらもよく馴れていますよ。文鳥は手乗りですし、亀も私が近くに行くとこちらに寄って来ますから。かわいいものです。

当コーナーの情報はそれぞれ掲載時のものです。
プロフィール等変更となっている場合がございますので予めご了承下さい。


↑ ページトップへ戻る


ALEXANDER HORN OWNER'S CLUB Copyright© Yamaha Music Japan Co., Ltd. 個人情報保護方針