|
|
林 伸行
(はやし のぶゆき) |
京都市出身。95年ドイツ国立デトモルト音楽大学首席卒業。在学中より、デトモルダー・ホルニステン、グランパルティータ・デトモルトのメンバーとしてヨーロッパ各地で演奏すると共に、レコーディング、ラジオ放送に参加する。
キール市立歌劇場管弦楽団、ドイツ・フィルハーモニアフンガリカ管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団を経て、95年9月より九州交響楽団団員。
シンフォニア・ホルニステンのメンバー。
ホルンを、野田篁一、柏原 賢、山岸 博、M.ヘルツェル、F.マックウィリアム、S.ヴァイグレの各氏に師事。
使用楽器:アレキサンダー103/マウスピース:ティルツ・マックウィリアム No.1 |
|
|
|
国内外のホルンプレーヤーにスポットを当て、インタビューや対談を掲載するコーナー。
ホルンについてはもちろん、趣味や休日の過ごし方など、
普段知ることの無いプレーヤーの私生活についてもお伝えします。 |
─経歴を見ると、「ドイツ国立デトモルト音楽大学首席卒業」というのが目立ちますね。 |
私はホルンを始めたのが高校生からなんですよ。吹奏楽部に入って。それまでも憧れはあったのですが、中学校に吹奏楽部がありませんでした。
音大に行こうと思ったのも高校も卒業が近くなってからで、卒業してからピアノを始めて、2浪して大阪の音大に入ったのですが、あまり合わなくて1年半でやめてしまいました。
ちょうどそのころ奏法を根本から変えたいという私の希望もあったものですから。日本では1年に2回実技試験がありますし、カリキュラム的にも時間をかけて奏法を変えるということが難しいんです。 |
|
─それでドイツに渡った。 |
ドイツの国立デトモルト音楽大学に入りましたが、奏法を変えるのに結局2年くらいかかりました。最初のうちは満足に音も出ませんでしたけれど、先生も根気強く指導してくれました。
トータルで7年その大学にいましたが、学科の方でも苦労しましたね(笑)。例えば譜面にベースの音と番号だけ書いてあって、それを見ながらピアノで和音を付けていくんです。こっちはピアノを弾くだけで精一杯なのに、そんなのできませんよ!
でも途中で「もういいよ」と言って、単位もくれましたけれどもね(笑)。あまりにできなかったので気の毒に思ってくれたのかもしれません。
あと、日本の音大を出ていないので、せめて「首席」くらいは書いておかないと……。もちろん経歴詐称ではありませんが(笑)。 |
─ドイツでの演奏活動は? |
先生を通じて、キールという町の歌劇場の契約団員という形で1年やらせてもらいました。
そこでは、前の年に上演して人気のあった曲を5〜6回再演するのですが、その練習はほとんどしないんですよ。前の年に十分やっていますから。それがR.シュトラウスの「ばらの騎士」。でも私は初めてじゃないですか。あれには泣きました。でもそれがいい経験になっていますね。スタミナも付きましたし。
その歌劇場では人間的にも暖かく迎え入れてくれるメンバーばかりで、非常に居心地が良かったです。
その後に、ドイツ・フィルハーモニア・フンガリカ――今はもうありませんが――に在籍していました。
そうこうしているうちにそろそろ日本に帰りたくなって、関西フィルハーモニーのオーディションを受けたら取ってくれたのですが、事情があってすぐ九州交響楽団に行くことになりました。 |
─九州が出身というわけではないですよね? |
出身は京都ですが、今の生活がリズムに合っていますね。家から練習場も近いですし、自分の生活をきちんと持てるところが良いですね。大阪や東京に行く機会も多いし、行った先々に仲間もいるし、そこでシンフォニア・ホルニステンの練習をしたりとか、「まず自分が楽しむ」というスタンスで生活できていると思います。 |
─今話にも出ましたが、ホルンアンサンブルの“シンフォニア・ホルニステン”は演奏会でチューバを入れたりとか、曲目もユニークなものが多いですよね。 |
最初からのポリシーとして、無難な曲はやらないと(笑)。
もともと須田君とドイツのデトモルト音楽大学で一緒だったのがきっかけで結成しました。現在は4人でやっています。
メンバーが仙台、東京、京都、福岡と散らばっていますので、練習は毎回違う場所です。シンフォニア・ホルニステンでは「やっつけ本番」は無理ですから。難度の高い曲も多いですが、何回も合わせているうちにどんどんこなれてくるんです。
近いところでは3月の末から約一週間の予定で集中練習。その次が4月30日に集合して3日練習し、5月の3、4、6、7日と演奏会です。 |
─かなり練習しますね。 |
メンバーが近くにいると「いつでも練習できる」と思ってしまいますが、我々は日本中に散らばっていますので、あらかじめ半年前くらいから練習のスケジュールを入れてしまうんです。メンバーはオケを休んでもその練習に出る。
だから「本番があるから練習する」のではなく、レパートリーとして練習していて、曲が仕上がってきたらプログラムに載せる、というやり方です。それで、どれがメインになってもいいような濃いプログラムになってしまうんですけれど……
曲ができればいいというのではなく、まずは4人のサウンドや方向性を合わせていくことが大切だと思っているんです。だから本番で「仕掛ける」とか、逆にフォローしあうとか。
この間も本番でミュートを落としてしまったことがあったのですが、それを拾う間小椋君がゆ〜っくりとなが〜くメロディーを吹いて待っててくれたり。そういうのがやっていて楽しいんですよね。 |
─いろいろアクシデントもありそうですね。 |
一番大きいのは、去年の秋に始めての東京公演をしましたが、その次の日にメンバーの広川君が緊急入院してしまって。その二日後には仙台公演が控えていたので、急遽代わりの方に入ってもらったのですが、本番の前日に一日中練習するわ、全部私が一番だわ、まあ大変でした。それも楽しかったのですけれどもね。
あとシンフォニア・ホルニステンに関しては夢がありまして、お金をためてドイツに里帰り公演をしたい。メンバーのうち3人がドイツで勉強しているということもありますので。 |
─ところで、アレキサンダーはいつからお使いですか。 |
|
高校2年生のときに、親を説得して初めて買った楽器が103でした。だからアレキサンダー歴はすでに22〜23年になります。今使っている103MBLは3代目です。
当時やはり憧れはありましたし、今ほど選択肢が多くなかったということもありますが、今に至るまで他の楽器を使うことは全く考えません。私にとってはホルン=アレキサンダー、それも103です。
103では自分のやりたいと思う音楽が、自分の声のように楽器から出てくれるんです。もともと抵抗の強めのものを好んで選んでいるところもありますが、それを息を入れて吹きこなすのが快感ですね。ダメなときはまるでダメですけれど(笑)。
ときどき別の楽器を吹くと、いつも103で苦手としているところがスムーズに行ってしまうこともあるのですが、でも全体を支配しているものが違いますので、やはり離せないですね。楽器の癖だって「あばたもえくぼ」ですよ。 |
─マウスピースは? |
ティルツのマックウィリアムの1番です。実はドイツ時代にマックウィリアムに習っていたことがあって、まだティルツで製品化される前に試作品をもらって、それ以来同じものを使い続けています。 |
どんどんAHOCに意見や企画案を出すなどして積極的に参加していただきたいです。会員が多い地域にイベントが集中しがちですよね。だから東京中心にしないように、それ以外の地域の皆さんもAHOCと協力して盛り上げて行けるといいですよね。私自身九州にいますし、余計それを実感します。シンフォニア・ホルニステンでもメンバーが日本中に散っていますしいろいろな地域に行きますので、AHOCとの橋渡し役としてもどうぞご活用下さい。 |
|
─どんな曲が好きですか。 |
ブラームスは全般に好きですね。あと、R.シュトラウスも好きです。 |
─クラシック以外でよく聴く音楽は? |
70年代から80年代にかけての、当時の歌謡曲をよく聴いています。80年代の後半からは日本にいなかったのでよく知らないんですよ。私、青春時代をドイツに捨ててきましたから(笑)。 |
─名刺の裏にマンションの「管理組合理事長」と肩書きがありますが。 |
マンションの管理組合理事長をすでに6年やっています。数年前からの話ですが、設計・施工の段階での問題を抱えているマンションで、実はホルンの取材よりもマンションの管理組合としての取材が圧倒的に多いくらいです(笑)。まあ、笑ってるような状態ではないんですけれども。 |
─ホルン以外の趣味は? |
テレビっ子です。特にバラエティ番組が好きですね(笑)。ドイツにいるときは散歩とかドライブとかよくしていたんですが、なぜか日本ではする気にならないんですよ。 |
─ドイツの思い出と言えば? |
何といってもカジノですね。と言っても怪しい話ではなくて、向こうはカジノが国家経営なんですよ。だからディーラーも国家公務員。国家試験を通っているから腕も確かだし信用できます。お金をかけて云々ということではなくて、そういう人たちとの人間的なやりとりが面白かったですね。あと昔のお城にカジノがあったりしますので、雰囲気も良いですし。 |
|
■佐賀公演
5月3日(水・祝) 開演18時
アバンセ(0952-26-0011)
■佐世保公演
5月4日(木・祝)開演14時
アルカスSASEBO 中ホール(0956-42-1111)
■山口公演
5月6日(土)開演14時
防府市地域交流センター(アスピラート) (0835-26-5151)
■宮崎公演
5月7日(日)開演14時
清武町文化会館 小ホール(0985-84-0181)
〈 プログラム 〉
プレトリウス/バロック組曲
ノイリンク/狩猟四重奏曲
リード/フランス組曲
ダニールソン/協奏組曲(ソロテューバとホルン四重奏)他
客演テューバ奏者 : 鈴木 浩二(九州交響楽団)
〈入場料〉一般 2,000円/学生 1,000円(当日券は500円増)
アレキサンダーホルンオーナーズクラブ会員の方は500円割引させて頂きます。
ホームページよりお申し込み下さい。
●詳しくはシンフォニア・ホルニステンホームページ(http://sinfo.horn.jp/)まで
|
|
|
|
※ |
当コーナーの情報はそれぞれ掲載時のものです。
プロフィール等変更となっている場合がございますので予めご了承下さい。 |
|
|