アレキサンダーファン
2005年10月掲載
対談インタビュー プレーヤーズ

国内外のホルンプレーヤーにスポットを当て、インタビューや対談を掲載するコーナー。
ホルンについてはもちろん、趣味や休日の過ごし方など、
普段知ることの無いプレーヤーの私生活についてもお伝えします。



 プレーヤーズ 第12回

 川上良司インタビュー


 
 
ホルンを始めたきっかけは?

 
中学生になって部活に入ろうと思ったんですが、男子が入れる部活が3つしか無くて…。それで第1希望『野球部』第2希望『剣道部』第3希望『吹奏楽部』と提出したんですが、第3希望の吹奏楽部になって、入ったらいつの間にかホルンに決まっていました(笑)。


 
 
自動的にホルンを始めて(笑)、中学生時代は吹奏楽コンクール漬けだった。

 
そうですね。でも中学は弱小部だったので一生懸命やったけど、良い成績は残せなかったです。それで、高校を選ぶときに、当時吹奏楽部に勢いのあった工業高校に行こうとしたんですが、先生に進学校を進められ普通高校へ行きました。


 
 
なるほど。そこで音楽の道へ進むことを決めたんですね。

 
音大に行きたかったんですけど、なにしろピアノが弾けなくて…、そしてピアノを弾く努力もする気がなかったんです(笑)。それなら、手先が器用だったので楽器職人になろうかと思い、先生に就職先をさがしてもらったんですが、これも良いのが無く…。それで、楽器職人になるなら、とりあえず金属の勉強をしてやろうと思い、金属工学科のある大学を受験することにしたんです!が、文系の生徒を集めたクラスにいたので、先生に「おまえは文系クラスにいるのに、理系の大学は・・・」と言われました(笑)。それでも推薦をもらい受験勉強をしていました。


 
 
それが何故自衛隊に?

 
そんなある日、友達のトロンボーン吹きが「自衛隊ってピアノの試験無いらしいよ」って言ってきたんですよ。その足で近くの自衛隊の事務所に行ったら、近々呉音楽隊の演奏会があるから、そこに行って試験を受けなさいと言われたんです!そして言われるがまま演奏会へ行き、その場で試験を受けたんです!まぁ、試験を言っても、そんな状況ですから、もちろんちゃんとした試験では無かったんですが合格を頂いて、その後、呉まで行って試験を受けて入隊が決まりました。


 
 
いきなり自衛隊に入ると聞いて、ご両親は驚いたのでは。

 
やっぱりビックリしていましたね〜。とくに祖父に至っては、海軍に徴兵されるんじゃないかって。入隊の前日に親戚一同集めて、自分は真ん中に座って、お膳を取って食事会があったんですが、後々考えるとあれは兵士を送る壮行会だったんですよ。特に祖父の世代は身内を戦争で亡くしたりしていましたから、死にに行くような送り出しをしてくれましたね。


 
 
晴れて音楽隊に入隊されたわけですけど、どんな仕事かは知らなかったのでは。

 
そうですね、入るまではよく分かっていませんでした(笑)。自衛隊の音楽隊 は、主に儀式、式典における演奏、隊員の士気高揚及び、部外に対する自衛隊の広報という任務があるんです。儀式、式典における演奏とは、自衛隊の入隊式とか卒業式とかの演奏や、外国から訪日された方を迎える時の演奏などで、広報は、いわゆる演奏会やイベントなどでの演奏です。


 
 
割合的に言ったら、どっちが多いのですか?

 
呉音楽隊の呉市や近くの江田島という所は軍港都市として栄えたところで今でも自衛隊の施設が沢山あります。そんな関係で6:4で部内の演奏の方が多かったです。


 
 
年間どのくらい演奏活動されているのでしょう。

 
大きいのから小さいのまで入れて、大体100件くらい。多い時には180件くらいありましたね。
 


 
 
その後、東京音楽隊へ移られた。

 
13年呉音楽隊にいて、東京音楽隊へ行きました。呉や佐世保など5つの音楽隊は日本の海岸線を大きく5つに分けた地方隊の直轄になるので、演奏活動範囲もそれぞれの担当区域になるんですが、東京音楽隊は防衛庁長官の直轄部隊ということで、編成も大きいですし、演奏の範囲も全国なんです。活動内容の割合も、広報演奏が6で、式典などが4になります。
 意外に知られていないんですけど、大相撲九月場所の千秋楽で君が代を吹いていますし、優勝パレードが出発する時にも演奏しているんですよ。あと、競馬のファンファーレなんかもやっていて、今年は天皇賞で吹いてきます。


 
 
ではアレキはいつから使っているんですか?

 
自衛隊に入って7年目の平成5年からだったと思います。アレキを使っていた人に、ちょっと吹いてみろと言われて、吹いたら「そっちの方がいいよ!」って言われて。そんなことは無い!と言い張ったんですが、みんなアレキの方がいいって(笑)。最初は慣れなかったですけど、やって行けば行くほど、実に味わい深い音色だと感じましたね。吹いていても全然飽きないんですよ。それからフォルテでしっかり鳴らした時の音が実に良いですよね。


 
 
ではホルンを離れて、趣味や休日の過ごし方は?

 
そうですね〜、休日はDVD鑑賞をよくしていますから、趣味は映画鑑賞ってとこですかね。最近は中国映画が好きで、『至福のとき』とか『あの子を探して』、それからチャン・ツィーが初めて映画に出た『初恋のきた道』などの、チャン・イーモウ監督の作品はお薦めです!


 
 
他に昔から続けている趣味は無いですか?

 
無い(笑)。前はパソコンが好きで、組み立ててみたりしていましたけど、今はもう面倒くさくなって、動けば何でもいいやって(笑)。


 
 
最後に、会員の皆さんに一言お願いいたします。

 
アレキサンダーでアンサンブルをすると、独特なとても良い響きがすると思います。なので皆さんも是非アンサンブルをして、アレキの響きを楽しみましょう!




PROFILE

川上良司2等海曹(かわかみりょうじ) ●川上良司2等海曹(かわかみりょうじ)

島根県出身。13歳よりホルンを始め、高校を卒業と同時に海上自衛隊呉音楽隊に入隊。平成11年2月から海上自衛隊東京音楽隊に移り現在に至る。ホルンを輦止隆麿に師事。



インタビューを終えて

海上自衛隊東京音楽隊の演奏会を聴いたことがあるのですが、それはもう素晴らしいものでした。そして驚いたのが『軍艦マーチ』!!!あんなに上手いマーチを生で聴いたのは初めてで、とてもショッキングでした。意外と知られていない自衛隊音楽隊の活動。プレーヤーズではこれからも色々な方面の奏者にスポットを当てて行きたいと思います!

みやっち@編集人

 
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