アレキサンダーファン
2005年07月掲載
ホルン・ワンポイントレッスン 達人の息吹


 達人の息吹 第9回

 アレキサンダーオーナーズクラブのみなさん、お元気ですか?

とうとう蒸し暑い夏に入りましたが体調のほうはどうですか?ラッカー無しのホルンをお持ちの方々、楽器の光沢が日々失われていくのを必死にクロスで磨かれている様子が目に浮かびます。 ・・・・・・おつかれ様です。

今日から7月。息子が急に「カブトムシ欲し〜い」と言いだし、今日、碑文谷のダイエーに行って、つがいのカブトを買ってきてしまった。幼少の頃近くの山で採った経験のある者としては多少抵抗もあったけど、黒光りしたその勇姿を見ているとわくわくしてしまい 「やっぱ男ってカブトムシ好きだよな。うんうん。」と子供と意気投合して帰ってきた。
でも最近は虫の世界もインターナショナルなのね。僕らのヒーロー、日本のカブトムシは一番下の段。ヘラクレスオオカブトとかアトラスとかコーカサスとか、でっかくて角もなんだか洋剣みたいにかっこいいの。それでもやっぱり僕は日本のが一番いいなぁ。2匹のオスをせまい箱に入れたもんだからもうケンカしっぱなし。見てるとほんと手に汗握る好試合。食べる食べられるじゃなくて、角と角の勝負っていうのが剣道みたいでいいじゃない。でもあまりやりすぎて弱っちゃうのもかわいそうなので箱を仕切ってあげました。

段々とこのコーナー、「いまいひとしのダイアリー・ある夏の日の午後」みたいになってきました。すみません。どうしても枕といいますか前振りがないとワンポイントレッスンが書けなくなっちゃって。

さて今回は「呼吸法」です。

呼吸法で一番大事なこと、それはいっぱい吸って、いっぱいはくこと。まずはこれに尽きると思います。レッスンをすると、たいていの人は自分の使える息の7割位吸って、4割位をはくというかんじです。これはもったいない。僕なんかは体も小さいし、肺活量もたいしてありません。ですから目いっぱい吸ってそれをはききるようなつもりで吹いています。もちろんいらない力が入らないように気をつけながら。これを見につけるにはもっとたくさん吸ってたくさんはく癖を自分につけるしかないと思います。毎日毎回気をつけながら、それを習慣にしていくのです。
フリーダイビングって知ってます?潜水具なしで要するに素潜りで何メートル深く潜れるかを競う競技です。肺活量を増やす方法をその選手が言っていたんですが、深呼吸をしてこれ以上吸えないというところまで吸います。そこから息を止めて空気を食べるようにして息を飲み込みます。そうすることで少しずつ吸える息が増えてくるというものです。ほんとかどうか試してないのですが、興味がある人はトライしてみては?

あと大事なのは息の支えです。
よく言われるのは腹式呼吸をして腹で支えろ、ということですよね。
確かにそうかもしれないけど、でも僕は積極的に腹式呼吸も腹で支えることも考えません。腹式呼吸で陥りやすいのは、おなかばかりに意識が行き過ぎて自由なリラックスした呼吸にならないということです。ですから肩に余計な力さえ入らなければ、おなかだけでなく胸も使って全身で息を吸うようにイメージするべきです。また同じように腹で支えようと意識をおなかに集中すると、余計な力が腹筋に入りすぎて、とてもぎこちない呼吸になりがちです。そのため僕が意識を持っていく所はおなかではなく、脇腹の少し後ろ辺りの筋肉。ちょうど肋骨と骨盤の間の柔らかい部分。ここを使って息を支えるようにしています。ここの筋肉が張った状態でうまく息をサポートできれば自然におなかでも支えられています。しかしこれを会得するには少し時間がかかるかもしれません。それが無意識のうちにできるところまで使えるようになれば、あなたの今のホルンの悩みのいくつかは解決することでしょう。


PROFILE

今井仁志(いまいひとし) ●今井仁志(いまいひとし)
愛媛県出身。東京学芸大学音楽科卒業。ホルンを千葉馨、伊藤栄一、原田晃祝、デール・クレヴェンジャー、エリック・ティルヴィリガーの各氏に師事。
アフィニス文化財団海外派遣制度によりミュンヘンに留学。
オーケストラアンサンブル金沢、東京交響楽団首席奏者を経て、現在、NHK交響楽団団員。
桐朋学園音楽科講師、武蔵野音楽大学講師、日本ホルン協会常任理事。
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンメンバー。







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