アレキサンダーファン
2005年05月掲載
ホルン・ワンポイントレッスン 達人の息吹


 達人の息吹 第7回

 アレキサンダーオーナーズクラブの皆さん、お元気ですか?

いやー、今年の花粉はすごかったですねー。山からふわふわ湧き出てくるスギ花粉を山火事と勘違いして消防車が出動しちゃったくらいすごかった。
私も花粉症歴20年。今年はとんでもなく多いよってニュースでいうもんだから1月からせっせと薬を飲んで備えておりました。なんでも30倍ですって。何から30倍なのかそこまで知らなくても、息できないくらい多いってことは容易に想像できます。もしかして空気が黄色いのかなと思ったけどそこまでではなかったですね。やっとその花粉も峠を過ぎて伝染病患者みたいな格好しなくても済むようになってきました。ああ、フレッシュな空気を直接吸える幸せをかみしめている今日この頃。

なかなかメールが来ない来ないと言っていたらやっと2通目の質問メール

キターーーーーーー!!!!!!

最近「電車男」読んだものでついつい使ってしまった。ほんとはアスキーアートで絵も描きたかったがどうやるのかわからんかった。でもなんかうれし
い・・・。

えー、匿名希望さんからの質問です。
おおまかな筋は「下の音が少し苦手です。下の口と上の口があって、その切替えがうまく行きません。また低音がフォルテで吹けない」とのことでした。

そうなんだよねー。
そりゃ、上から下まで同じ口で吹ければそれが一番いいです。そうできるように練習すればいいのですが、やはりそれができるにはたぶん持って産まれたものが必要です。ということで、じゃぁもう開き直って上の口、下の口両方を使い分けましょう、ということになります。
うまく切替えをするためにはまず顎の切替えをなるべく少なくするよう、下の口のセッティングをするということでしょう。今の下の口のセッティングをチェックしみてください。あまりにも大きく顎を動かして切替えしているようだとスムーズな切替えはできません。最小限の顎の動きで切り替えられるよう練習しましょう。
匿名さんは「五線の下のFから下の口に切り替えている」とのことですが、その下の口で、例えばAまで上がれるように練習しましょう。逆に、上の口でDまで下がれるように練習しましょう。するとAからDまでの音は両方の口で吹けることになります。そうなればたいていの曲はカバーできると思います。
上の口の音から下の口の音へ移る、またはその逆の練習方法としては、とにかくスラーで両方の音をつなげていく練習をするしかないと思います。そういったエチュードはたくさん出ていますので楽器屋さんに行って探してみてください。これが一番いいよというのはありません。どれも似たり寄ったりです。

もうひとつの質問、「低音が思うようにフォルテで吹けない」ですが、これは下吹きの方々に聞いたほうが賢明かと思われます。でも一応僕のほうから少しコメントしておきましょう。下の音が強く吹けないのは空気の流れをうまく唇で捉えられてないからです。いくらがんばって息を吐いてもそれが口を素通りしては音になりません。口が緩みすぎていませんか?低音を吹くといってもしっかりさせるところはずっとキープしていなければいけません。それといつもバズィングを意識して。僕がアドバイスできるのはこのくらいでしょうか。低音のエチュードとしてはマーティン・ハックルマンの34の性格的エチュード(低音用)とかヘルマン・ノイリンクの『30 Spezial−Etuden fur tiefes Horn』とか、ギャレイの『12 STUDIES for Seconde Horn』などがあります。

それではまたねー。質問メール待ってるよ!



PROFILE

今井仁志(いまいひとし) ●今井仁志(いまいひとし)
愛媛県出身。東京学芸大学音楽科卒業。ホルンを千葉馨、伊藤栄一、原田晃祝、デール・クレヴェンジャー、エリック・ティルヴィリガーの各氏に師事。
アフィニス文化財団海外派遣制度によりミュンヘンに留学。
オーケストラアンサンブル金沢、東京交響楽団首席奏者を経て、現在、NHK交響楽団団員。
桐朋学園音楽科講師、武蔵野音楽大学講師、日本ホルン協会常任理事。
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンメンバー。







↑ ページトップへ戻る


ALEXANDER HORN OWNER'S CLUB Copyright© Yamaha Music Japan Co., Ltd. 個人情報保護方針