アレキサンダーファン
2005年04月掲載
ホルン・ワンポイントレッスン 達人の息吹


 達人の息吹 第6回

 アレキサンダーオーナーズクラブのみなさん、お元気ですか?

春ですねー。春と言えば別れと出会いの季節。我がN響も新しいホルン吹きが2人も入ってきましたよ。2人とももちろんおジョーズ!アタシも二人に白い目で見られないように日々精進せねばと思う今日この頃。そうそう、なんと二人ともアレキ使いなのだ。聞いた話によるとKマタ氏は産まれてこのかたアレキしか吹いたことがないという筋金入り。そんな人もいらっしゃるのね。オレなんか初めて吹いたのニッカンのメロホンだったもんなぁ・・・(思わず遠い目)。だいたい今の若い人ニッカンなんて知らないだろうなぁ。もしかしてメロホンも知らないか。(さらにその視線が忘却の彼方に・・・)。

いや、今回書きたかったのは入ってくる人もいれば去られる方もいて、という話。そう、日本が誇る 明 いや、名3番ホルン奏者、大野良雄氏のことです。僕が学生時代、松崎さんと大野さんの二人が座った時のセクションの音は憧れのサウンドでした。その大野さんと同じ職場で働けるなんてその時は夢にも思ってませんでしたが。その大野さんが2月定期のロビーコンサートでホフマイスターのホルンクインテットを吹かれたのですが、なんと美しい音。ロビーの空間をホルンのまさに美音で満たしておられました。 大野親子
大野親子
あれだけきれいにアレキを鳴らす人、日本では大野さんが一番ではないかしら。やられたーって感じ。大野さんもアレキ一筋。その大野さんが残念なことにN響を3月いっぱいで退職されてしまいました。一色さんも山本真さんもいなくなって大野さんまでも。寂しい限りです。(ほんとに遠い目)。

さ、今回もなんとかしてワンポイントレッスンかたづけねば。
いつものようにリクエストのメールが来ないので勝手に決めちゃうよ。
今回はそうねー、苦しまぎれでリップトリルだーっ!

みなさん、リップトリルって難しいよねぇ。でも、できたらかっこいいよ。あと、楽に高音を吹くコツもこれを会得することでつかめたりしていいことずくめ。
聞く所によるとできる人はちょっと練習しただけでパッとできちゃうらしいです。でも殆どの人はいくらやってもできない。普通の練習の仕方としてはリップトリルしたい2音をドーーレーードーーレーードーレードーレードレドレ・・・・・・・とメトロノームに合わせてだんだん速くしていく方法。初めは4分音符、8分音符、3連符、16分音符というふうに。
私この方法で2年くらいシコシコ練習してましたがあまり成果は芳しくなかったです。そこでこういうやり方もあるよ、と教わったのが次のやり方。

まず、トリルの2音をできるだけ速く1回だけ移動する練習をします。ドレ、ドレ、 ドレというふうに。ドとレが同時に鳴っているくらいに速く。それがだいたいできてきたら、次に音を1コ増やします。ドレド、 ドレド、 ドレド、というふうに。これがいい感じでできるようになったらもう1コ増やして、ドレドレ、 ドレドレ、 ドレドレ、というように練習していきます。要するに速さをだんだん速くしていくのではなく、個数を増やしていく練習方法です。
この方法でドレドレドレドレと4往復できればあとはずーっと続けてできると思います。ただこの方法で会得したトリルはジャズでいうシェイクに近いトリルになりがちです。そこでもう一度、初めに書いた方法(メトロノームに合わせてだんだん速くする練習法)。で練習してトリルの質を整えます。
これが私の勧めるもう1つのリップトリルの練習方法です。まぁやってみてください。私はこれでリップトリルが満足に使えるようになりました。ただ、何人かにこの方法を伝授したのですが残念なことにまだ一人もこの方法でできるようになった弟子はいません。あしからず。


PROFILE

今井仁志(いまいひとし) ●今井仁志(いまいひとし)
愛媛県出身。東京学芸大学音楽科卒業。ホルンを千葉馨、伊藤栄一、原田晃祝、デール・クレヴェンジャー、エリック・ティルヴィリガーの各氏に師事。
アフィニス文化財団海外派遣制度によりミュンヘンに留学。
オーケストラアンサンブル金沢、東京交響楽団首席奏者を経て、現在、NHK交響楽団団員。
桐朋学園音楽科講師、武蔵野音楽大学講師、日本ホルン協会常任理事。
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンメンバー。







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