アレキサンダーファン
2005年03月掲載
ホルン・ワンポイントレッスン 達人の息吹


 達人の息吹 第5回

 アレキサンダーオーナーズクラブのみなさん、お元気ですか?

待ちに待ったメールついに来ましたよ。1通だけだったけど。
でもうれしいっすねぇ。いろいろ投書メールが来ない理由を考えてたんですが、アレキサンダーファンの会員の方々は奥ゆかしい方が多いのか、はたまた支離滅裂な文を読んでコイツの言ってることはあてにならないと思われたか、またはアレキサンダーに興味はあるが大王のほうだ、とか。
ま、ひとまずこれで今月の書くネタは決まってほっとして・・・・
たら早くも2週間が経ってしまった。なんで知らない間に日が経っているんだ!別に2週間意識不明に陥っていたわけでもないし。周りからはよくそういうふうに言われるけど。
あ、そういえばアメリカで交通事故で植物状態だった人が20数年ぶりに目を覚ましたっていうニュースがあったな。今もし植物状態になればとりあえずこの苦しい状況からは脱することができるぞ。でも起きたら25年後だったっていうのはどういう気持ちなんだろ。おっ、知らない間に住宅ローンが終わってるじゃないか、でもN響も既に定年退職してるな・・・・
そうこうしてる間に1時間近く経ってしまった。締めきりの期日は近い。
いつもくだらない前置きが長くてすみません。

というわけで、
今回のテーマは・・・・

「ゲシュトップ」です。
投稿してくれたKさん、僕を救ってくれてどうもありがとう。
ゲシュトップ、正しくはゲシュトプフトまたはストップ奏法。でもいいんです、ゲシュトップで。業界用語みたいなもんだからね。

苦手な人、多いです。普通に吹くのとゲシュトップ、どっちがやりやすい?って聞かれたら絶対普通に吹く方と僕だって答える。だって大変なんだもん。指使いは半音下げた音にしてベルを完全に塞ぐ。基本的にはF管を使って吹く。これでin Hの楽譜だったりしたらもうお手上げ状態。読み替えがなくっても特に低い音は至難の技。音符にあのって記号あると、たまに十字架に見えてくるもんね。ご愁傷さまです、アーメン。

やはり手の小さい人は、より難しいと思います。そこで親指と人さし指の間の柔らかい所に消しゴムかそれに似た物を挟んでベルを塞ぐと結構いいかんじになります。結果的に手を大きくしたことになります。

あと、手が薄い人、指が細い人もより難しいでしょう。そういう人はゴム手袋を手にはめて塞ぐと見違えるようにうまくできます。見栄え的にはあまりお勧めできませんが、きちんと塞がれた時の感じを掴むにはいいと思います。最終的にはゲシュトップミュートという便利な物がこの世にはあります。これがあれば右手の不都合ともさようなら。心地よくビーンと鳴らすことがあなたにもできるでしょう。

それでもダメな人。たぶん出そうとしている音がオープンでフォルテッシモで吹けないんじゃないでしょうか。ゲシュトップでビーンときれいに鳴らす為にはこれは最低条件です。まずオープンでその音を強く、少し割った音で出せるように練習しましょう。投稿のKさんも「普段の音が柔らかめで、上吹きなので下の方の音が弱い」と書かれていました。まさにこれに該当していると思われます。ホルンを吹く時、息のことも大切ですが、バズィングをもっと意識しましょう。効率良く息がバズィングに代わっているでしょうか?結論としてはゲシュトップはその音をフォルテッシモで吹く練習で克服できると思います。

補足ですが基本的にF管を使うと書きましたが別に正しい音程で吹ければB管を使ってもなんら問題はありません。ホルンは替え指が他の金管楽器に比べて多いのです。音程に難がある時など替え指を探すのも上手にゲシュトップを吹くコツかもしれません。ただし基本的な吹き方がちゃんとできていてという条件が付きますが。

Kさんこれで納得してくれるかなぁ・・・。


PROFILE

今井仁志(いまいひとし) ●今井仁志(いまいひとし)
愛媛県出身。東京学芸大学音楽科卒業。ホルンを千葉馨、伊藤栄一、原田晃祝、デール・クレヴェンジャー、エリック・ティルヴィリガーの各氏に師事。
アフィニス文化財団海外派遣制度によりミュンヘンに留学。
オーケストラアンサンブル金沢、東京交響楽団首席奏者を経て、現在、NHK交響楽団団員。
桐朋学園音楽科講師、武蔵野音楽大学講師、日本ホルン協会常任理事。
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンメンバー。







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