アレキサンダーファン
2004年12月掲載
対談インタビュー プレーヤーズ

国内外のホルンプレーヤーにスポットを当て、インタビューや対談を掲載するコーナー。
ホルンについてはもちろん、趣味や休日の過ごし方など、
普段知ることの無いプレーヤーの私生活についてもお伝えします。



 プレーヤーズ 第2回

 山岸博インタビュー


 
 
まずホルンを始めたきっかけからお願いします。

 
もともと中学生のときに10人くらいしかいない鼓笛隊ともいかないような、 マーチばかりを演奏する部にいたんですが、大太鼓をやったりトロンボーンをやったりしていたんです。そして、3年生のときにトランペットを始めました。
そのまま高校へ進み高校2年のときに、誰かにレッスンをつけてもらおうと、当時日本フィルにいた兄に相談して、そのときに日本フィルにいたリチャード・マーキュリーというホルン奏者を紹介してくれたんです。それでトランペットをレッスンしてもらおうと東京に出てきたんだけど「私はホルン吹きだからトランペットは教えられない、ホルンを吹いてみろ」と言われ、吹いてみたら、「いいじゃないか!どうする、やるか?」と言われて、じゃあやろうとホルンを始めました(笑)。それから1年間くらいレッスンに通ったんですが、今思えば最初から良い先生につけて幸運だったと思います。


 
 
では、いよいよ大学受験ですね。

 
初めから親に公立の大学じゃないと無理と言われていたので、芸大1本に絞って受験したんですが、ホルンを始めたのが遅かったせいもあり、その年の受験は案の定落ちました…。そして練習を積み重ね2年目の受験に挑みましたが、今度は学科で落ちた…。そして3回目の挑戦で受かりました。大学では谷中先生についていましたが、浪人時代から、当時日本フィルのソロホルン奏者だった山口先生についていました。


 
 
高2からホルンを始められたんですが、初めからアレキじゃないですよね。

 
それがねぇ、ホルンを始めようと言ったはいいけど、肝心の楽器が無い…。それでどうしようかと先生に相談したら、日フィルに使ってない楽器があるから貸してやると言われ、与えられたのがアレキ103だったんですよ!それを1年か2年くらい使ってたかな。そのうちに、当たり前ですけど、返してくれと言われ、親父に相談して無理して103を買ってもらいました。それからはずっとアレキなんですが、ドイツに行って、ケルン(ケルン市立歌劇場管弦楽団)に入ってから、ヤマハを半年くらい。日本に帰ってきてからクルスペを半年くらい使いましたが、再びアレキに戻りました。


 
 
アレキを吹く上で、なにか注意すること等はありますか?

 
やっぱり音色の深みみたいなのが、他のメーカーと比べて少し違うんだよね。
それからpからfの幅が大きいというか幅が長いというか。アレキ独特の、多少吹きにくいところがあると思うんです。よっぽど奏法がしっかりしていないと吹きこなすのは難しいと思いますね。


 
 
と言うことは逆に吹きこなしている人は奏法がしっかりしている。

 
それはどうだかわかんないよ(笑)。でもベルリンフィルのメンバーも使っているし、ヨーロッパの方で使っている人が多い。それだけ支持されているということは、良い楽器だということですよね。最近は本当に人気が出てきた。昔はとても吹きにくくて…自分の技量不足もあったんだろうけど、プロを除いて使っている人は今より少なかったと思います。学生の頃はアメリカナイズしていてコーンなどが人気でした。


 
 
休日の過ごし方なんですけど、やっぱりゴルフですか。

 
僕らの休日はだいたい平日なんですよね、だから安くていいんです(笑)。時間が空いていれば打ちっぱなしに行って練習したりします。ホルンと一緒で練習を怠ると下手になってしまいますから(笑)。


 
 
ゴルフを始められたきっかけは?

 
音楽祭で一色君(元NHK交響楽団ホルン奏者の故・一色氏)と一緒になって、時間が空いたときに練習場に連れて行ってもらったんです。その帰りにゴルフショップへ行ってクラブを買ってしまいました。そして次の日には一人でタクシーに乗って練習場にいってましたね(笑)。とにかくホルンと一緒で、難しくて紙一重な所があるから面白いし、続けられるんですね。たとえばゴルフでちゃんとスイングしても思ったところに行かないことがある、ホルンでも思った音がはずれることがあるでしょう(笑)。でも、案外ゴルフのほうがシビアな部分が多いかも。グリーン上で1メートルのパットを入れるだけでも1冊の厚い本になってるんですよ、芝目とか握り方、立っている位置、重心…。ドライバーで1冊、アプローチで1冊…。ホルンでそこまでのことはやっていないような気がしたね…やんなきゃいけないんだけど(笑)、同じ紙一重なんだから。でもゴルフで一番大事なのは一緒に出来る仲間がいるってことかな。


 
 
では、最後に会員に向けて一言お願いします。

 
とにかく盛り下がるよりは盛り上がった方がいいに決まっているんで、大いに盛り上げていってもらいたいです。



PROFILE

山岸 博 ●山岸 博(ホルン)
長野に生まれる。東京芸術大学卒業後、ベルリン音楽大学に留学、ザイフェルト氏に学ぶ。1976年ケルン市立歌劇場管弦楽団に首席奏者として入団。日本人として始めてバイロイト音楽祭に参加。1984年帰国と同時に読売日本交響楽団に首席奏者として迎えられる。現在、読売日本交響楽団首席ホルン奏者及び洗足学園大学教授。日本ホルン協会会長。




インタビューを終えて

私はスポーツはスキーとテニスしかしないのですが、ゴルフとホルンの意外な共通点に、ただただうなずくばかりでした!長年オーケストラの首席やソロを務めてきた経験と集中力が、他にも生かせるところがあるとは。きっとゴルフの腕前も一流に違いない!しかし当面のライバルは、偶然にも前回のプレーヤーズである伊藤氏と阿部氏だそうです(^_^;)
そして、インタビューを終えて僕がゴルフを始めたくなったのは言うまでもないでしょう…。

みやっち@編集人

 
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