この日のミニクリニックのテーマは「ウォームアップとデイリートレーニング」。
まず「ウォームアップってどういう意味だと思いますか?」と問いかけることから始まった。
「ウォームアップをバズィングやマウスピースだけで始めるのは好きではありません。もちろん個人差があるけれど、私は最初から楽器を持って始めます。そして、最初から『何が自分にとって問題なのか』を考えるようにしています。基本的には自分にとって最も快適な音域から始めますが、その後は自分に問題がある音域を中心に行ないます。私は基本的にB♭−Fで始めるようにしています」
〈B♭-D-F-D-B♭-D-F-D-B♭〉の音型を吹き、Eから始まるところまで半音ずつ上げて行く。
「美しい響きを考え、身体の力を抜いて、マウスピースのプレスをなるべく少なくして、響きに集中してmfくらいで始めます」
「プレスを少なく」ということはドール氏がこれまでも、そしてこの日も繰り返し強調したことだ。
「注意深く自分の音を聴きながら、真ん中のB♭から始めて半音ずつ上げて行きます。柔かな口で、息が流れるようにして吹きます。音の響きを聴くことで、今日の自分にはどんな問題があるかがわかるわけです」
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