マスタークラスはまず、桐朋学園大学オーケストラアカデミーの山田圭祐さんから。マスタークラスのピアニストは遠藤直子さんが務めた。曲はR.シュトラウスのホルン協奏曲第2番より第1楽章。緊張感も見えるが、明るく張りのあるサウンドで安定した演奏だった。まず、「ブレスの回数を増やしてもいいので、その分息を使いましょう。最初のフレーズは途中でブレスを取っても構いません。でも聴き手は気にならないと思います」とドール。彼はこの後も、「どうしてここでブレスしないの?」と、吸えるところではどんどんブレスを取り、その分息の量を増やすよう指導していた。さらに「負担の大きい曲ですから、ブレスのときにちょっとでも唇を離して、休ませるといいですよ」とも。
次に、「上昇音型でハリーポッターの魔法のようなディミヌエンドをかけましょう。そのためには、弱くしたときの高音の口の形をあらかじめ作っておくことが必要です」と言い、ついマウスピースをプレスしたくなる音の跳躍がある部分で、「マウスピースをもっと離して」と楽器を構える左手を(本気で!)引っ張った。「pの部分はプレスではなく、息を使って吹くこと。アパチュアは小さくするけれど、息は減らさないで!」
最初は音が外れたりかすれたりすることもあったが、何度か挑戦しているうちに、より豊かで美しいディミヌエンドが完成した。 |