ラストはマンシーニの《ムーン・リバー》を切々と歌い上げた。もしかすると最後のアンコールこそが一番の聴きどころだったかもしれない。CDにも収録されているモーツァルト作曲(松尾俊介編)の《アヴェ・ヴェルム・コルプス》が丸山さんのフリューゲルと松尾さんのギターでしめやかに始まり、途中からヴィーナスによるホルンのハーモニーが加わるのだが、その美しさに思わずぞくっとさせられた。
「ニューアルバム発売記念コンサート」と銘打たれてはいたが、それをはるかに超える企画と表現の多彩さを味わうことができた演奏会だった。しかしこれでもまだ、丸山勉という音楽家の一部に過ぎないような気がする。 |