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ホルンを始めたのは14歳のときです。小さい頃からピアノを習っていたのですが、イギリスで音楽を勉強するには、楽器を2つ習う必要があります。先生は、私が女の子だと言う理由でフルートとかクラリネット、ハープなどを勧めましたが、ハープに関しては、父が「高価だし、運ぶのがたいへんだから」と反対でした。
先生の「ホルンもあるけれど、これは男の子向きの楽器だよ」という言葉を聞いて、私はすぐに「それならホルンをやってみたい」と言いました。今でこそホルンを演奏する女の子はたくさんいますが、当時はほとんどいませんでしたから。
最初のレッスンのときから、ホルンがまさに「自分の楽器だ」と感じて、二度とピアノを練習したくなくなりました(笑)。 |
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ホルンの音は素晴らしいと思いましたし、先生はトロンボーン奏者でしたがとても良い先生で、私にホルンが好きになるようなインスピレーションを与えてくれました。
それから、ピアノの練習にうんざりしていたこともあります(笑)。一日8時間の練習ですよ! それに比べればホルンの練習は平和です。
もちろん最初から良い音が出たわけではありませんけれどね。両親は私のホルンを聴いて「像の鳴き声のよう」と言っていました(笑) |
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全ての音域において良い音を出すことですね。私は低音を吹く方が好きですが、もちろん高音も吹かなければなりませんから。そして、何よりも、それを楽しいと思うことです。 |
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それはトップシークレットです(笑)。「1日4時間は必ず練習している」と言いたいところですが、それは嘘ですね。そのとき必要な目的が違えば、練習内容も自ずと違ってくるからです。
例えば今夜のブラスアンサンブルなどでは、普段と違って高い音をずっと吹かなければならないから、それに合わせて口の筋肉を鍛え直さなければならないので、そのための練習が必要だし、オーケストラのための練習ならまた別の内容です。生徒にも言っていますが、重要なのは毎日決まった時間同じ練習をすることではなく、何が必要か考えて練習することなのです。
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私にとってはずっと以前から変わらず、世界最高のオーケストラです。このオーケストラでホルンを吹くということは非常に名誉なことです。ホルンセクションも名手ばかりで、ときどき自分がその中で吹いていることが信じられなくなります。とてもハードワークだし、ストレスになる要素も多いですが、いまだにこのオーケストラで吹いていることが夢のように感じることもあります。 |
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最初オーディオションを受けて入団したときには4番吹きでした。今は下吹きということで、どちらも吹く機会がありますが、ここ数年は2番が中心です。今後はどうなるかわかりませんね。私が60歳になったころにはソロホルン奏者になっているかもしれませんね――実際のところそうは思いませんけれど(笑)。 |
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いえ、特に低音が得意ということはありませんでした。ベルリン国立歌劇場では2番や3番を吹きましたが、今ほど低音は必要とされませんでした。それで、ベルリンフィルのオーディションを受けるために、大きな音で低音が出せるような特別な練習をしたんです。シカゴに行って、チャーリー・バーナンというバストロンボーン奏者の元で呼吸法も学びました。
今では低音を思い切り吹くことは大好きになりました!
以前、ホルンアンサンブルで日本公演をしたときに、小さな女の子がホルンを背負って私のところにやってきて、「あなたはそんなに細いのに、どうしてあんな凄まじい音(big
noise)が出せるの?」と言われたのが、私にとって最高の賛辞です。
ただ、多くのホルン奏者は低音を苦手としています。低音を出すためには、高い音よりもより多くの練習が必要となるからです。
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私自身も、それを探しているところなのですが(笑)。
まず、低音を大きな音で吹けるように練習することです。そして重要なのは、小さな音でも安定したロングトーンができるようにもすることです。
私はよくチューバの練習曲を使っています。ホルンの曲ではノイリンクの「バガテル」も好きですね。あの曲も良い低音が出てきますので。「バガテル」と言えばオーディションでも吹いたのですが、私の演奏を聴いて笑いが起こったのを覚えています。「こんなに大きな音で低音を吹く人は初めてだ」と言われて(笑)。 |
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ファンタスティックとしか言いようがないです! 11人の信じられないような金管奏者、しかもナイスガイとともに演奏できるのですから。また、普通ならオーケストラのソロホルン奏者が吹くようなポジションに私がいられるということも幸せなことです。 |
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なんと言っても音色が好きですね。イギリスで勉強しているときに、アレキサンダーを使っていたのは私だけでした。イギリスの音色も素晴らしいですが、私の理想と描く音色と少し違っていて、この103という楽器こそが私の理想に最も近かったのです。
ドイツに来てベルリンフィルの音色を聴いたとき、まさに「ああ、このサウンドだ!」と思いました。中でも師匠であるファーガス・マックウィリアムズの音色は、私の理想とするものでした。 |
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中等科の頃に先生が当時コーンを使っていた私の音を聴いて、「アレキサンダーって楽器を知っているか」と言ってくれたのきっかけです。最初にアレキサンダーを吹いたときには、とても吹きづらく感じました。コーンは楽に息が入りますが、アレキサンダーは首を絞められたような感じで息が入っていかない(笑)。でも音色は素晴らしかったので、使う価値があると感じ、吹き続けています。 |
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やはり音色に最も魅力を感じます。独特の倍音がその音色を作っているでしょう。
私はフィルハーモニー(ベルリンフィルの本拠とするホール)でいろいろな楽器を試しましたが、私にとってはアレキサンダーが最も素晴らしい響きに感じましたし、最も遠いシートまで音が楽に届くのです。 |
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アレキサンダーのオーナーズクラブが日本で設立されたのは素晴らしいことだと思います。AHOCの設立パーティにも参加しましたが、とても良い雰囲気だったことを覚えています。
AHOCのメンバーにはこう言いたいですね。「おめでとうございます! あなた方は正しい楽器を選びました」と。
いつか予定がうまく合えばキャンプにも参加して、「低音キャンプ」にしてみたいですね!
それからもう1つニュースがあります。ヴァレンドルフと2人でソロを吹いている「ロゼッティ/2本のホルンのための協奏曲集」の第2弾を録音しましたので、CDの発売を楽しみにしていてください。 |
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アメリカ・メリーランド生まれ。ロンドンのギルドホール音楽演劇学校でホルンとピアノを学んだ後、ベルリンでファーガス・マクウィリアムに師事。1991〜2001年ベルリン国立歌劇場のホルン奏者、2001年よりベルリンフィルに入団。
●使用楽器:アレキサンダー 103ML
●使用マウスピース:ティルツ マックウィリアム1
(リム:パックスマン 4B) |
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全国を飛び回る忙しいツアースケジュールの中、
7月17日ドルチェ楽器・大阪にて待望のマスタークラスが開催された。
どのようなマスタークラスだったのか、、、サラ・ウィリスさんを招くことが長年の夢であったというドルチェ楽器湊川氏よりコメントをいただいた。 |
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私どもドルチェ楽器では内外の素晴らしい演奏家をお招きして、サロンコンサートあるいはマスタークラスなどを数多く開催してまいりました。
特にホルンにおいては、R.バボラーク、G.ザイフェルト、P.ダム、F.ロイドの各氏をはじめ、多くの演奏家の方々に来て頂きました。
ところで近年は、中学・高校の吹奏楽部から音楽大学ホルン専攻生、プロ演奏家に至るまで、女性ホルン奏者の占める比率がとても高くなってきています。音楽に男女の区別はないのですが、やはり女性ホルン奏者によるマスタークラス開催へのご要望も多くなってまいりました。これまでにもM.L.ノイネッカー、F.R.ヴェクレ、J.ランズマンの各女史など素晴らしい女性ホルン奏者をお迎え致しましたが、現在、最も注目を集めている女性ホルン奏者と言えば、やはりベルリンフィルのサラ・ウィリス女史でしょう。彼女をお招きすることは数年来の夢でした。
今回、招聘元のノア・コーポレーション様、ヤマハミュージックトレーディング株式会社株式会社(現ヤマハミュージックジャパン)様のご協力を得て、彼女のマスタークラスを開催できましたことを本当に嬉しく思っています。
さて、今回のマスタークラスではL.ケルビーニのホルンソナタ第2番(受講生:大阪音楽大学 大角奈央美さん)、R.シュトラウスのホルン協奏曲第1番(受講生:同志社女子大学 小坂智美さん)の2曲が採り上げられました。両曲ともにホルン専攻生にとっては大切なレパートリーです。
サラ・ウィリス先生のアドバイスは明解で、受講生にも、また聴講された方々にもとても解りやすいものでした。また、ひと言ひと言に受講生に対する思いやりを感じられ、彼女の人間的な魅力にも触れることができたように思います。本当に素晴らしいマスタークラスでした。
私達も含めて、来場された方々は「あの魅力的な低音の秘密」を探ろうとされたと思いますが、最後に彼女が言われた「タネも仕掛けもありません。安定したロングトーンの積み重ねが大切です」との言葉は、今更ながらですが、説得力をもって会場に響きました。
機会があれば、是非もう一度お迎えしたいと考えています。
(株式会社ドルチェ楽器 湊川哲) |
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